シュタイナー教育ことはじめ

9歳の娘が通い出した、コスタリカの海辺に立つシュタイナー小学校、「星の家」。そこでシュタイナー教育について、教師や親が理解を深める2日間の週末ワークショップがあったので、参加してきました。以下、メモ書きです。


シュタイナー教育とは?その特徴など
(英語では、シュタイナーとは言わず「Waldorf Education(ウォルドルフ)」という)

人智学(Anthroposophy:アントロポゾフィー)に基づいている。人智学は、一言で言えば「人間の叡智」の学問。だから、体を動かしたり、踊ったり、手を動かしたりと、すべて経験や実践や感情のゆれから、人間全体の学びを深めるのが基本。

▲子どもの魂を育てる「全人教育」
子どもは生まれてから、7歳ごろまでは、お母さんのお腹から出てきた延長。ふわふわしたドリーミーな感覚。精神世界とEarthyな世界の住人で、魂レベルがとても高い。だから無理に地上に着地させない。この時期の「魂の成長」はとても大切。自然に対する畏敬の念、見えないものを見る力、これが育って初めて、植物の成長や自然保護の意味も、後々、理解できるようになる。(それなのに一般的な学校教育では「おとぎ話は卒業して、現実に役立つ勉強をしなさい!」と引き離してしまう、、、とても暴力的。)これがまずは小学校低学年では一番、大きな違いのような気がする。

大人(親や教師)は、子どもの各年齢に合わせて、どんな風に魂が発達していくのかを知っていることが不可欠。例えば、、、

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0〜7歳 完璧な魂の状態。宇宙や自然界のエレメントと結びついている。
7歳〜14歳 感情が発達してくる。大人や先生に権威を求める。行動や規範から信頼を獲得することが大切。
14歳〜21歳 真実を語る。頭脳とのコネクション。
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さらに詳しく各年齢の特徴と成長の手助けの方法をみてみると、
3歳ごろ…はじめての自我が芽生える(いやいや期と言われるのは、このため)。健康的な生活習慣を身につけさせることが大切。「自由になんでもさせる」のでは、子どもは混乱してしまう。大人がガイド役になって、自由な魂をナビゲートしてあげなくてはならない。模範から学ぶので、まわりの大人がいいロールモデルになるように。
3〜6歳…想像力、ファンタジーの世界にどっぷりつかるころ。だから既存のおもちゃをあげたら、心が育たない。おとぎ話、マジカルな事柄、調和のとれたトーンでの声がけなどが大切。
7歳ごろから…少しずつインテレクチャルな頭脳が育ってくる。ただし最初の数年は、まだおとぎ話などの世界からスムーズな移行ができるように。
9歳…ファンタジーの世界から抜け出て、カオス。混乱が生まれる時期。今までの王国を失い、自分はなにもの?と内部でしくしく問いかける時。一体感から、部分へ。だから割り算などもこの時期に始める。大人は、態度と生活自体を通じて、子どもの愛と尊敬を獲得し、「私は愛されている存在なんだ、一人じゃないんだ」ということを内側から分からせてあげること。
10歳…異性ということが分かってくる。地球についての興味の芽生え。地域の地図を制作するとか、航空写真を見せるとか、動物について深く学び始めるのもこの時期。
11歳…この時期は、心に平穏が生まれ、落ち着いて成長できる黄金期。原因と結果ということも理解できる。古代の神話、各時代の英雄の話をする。
12歳…どうやってローマの法はなったのか?法律とは何か。科学への興味。天文学
13歳…セクシャリティー、健康、栄養学。体の臓器の役割。
14歳…絶対的な権威ではなく、友達との関わり。抽象的な考え方の目覚め。技術への興味。
18歳以上…確固たる自我。宗教への目覚め。ヨガや瞑想など。さまざまな中毒への注意(ドラッグ、セックス)。

、、、と、かなりかけ足ですが、こんな感じ。

子どものこうした発達段階を理解していない教育は、暴力的である。人生の各段階をまずは大人が理解するように。そうすれば適切なガイダンスができる。小さい変化を見逃さないように!するどい観察眼を養うのが、不可欠。

特に注意すべきは、10歳ごろまではできるだけファンタジーの世界でいさせてあげること!ちなみに娘の教室に書いている絵は、こんな感じ。


ノートブックにも、妖精や小人の絵がたくさん。


大人っていつから、妖精や精霊たちを信じなくなってしまったんだろう、、、。娘と一緒に、見えないものを見る力を私ももう一度取り戻している感じ。余談ですが、最近、妖精とコンタクトしていると、必ず一粒の雫が空から落ちてくる、という不思議なことにも遭遇している。

▲色の話

シュタイナーでは色がとても大切な要素。確かに異なる色によって湧き上がる感情もそれぞれに違う。(各曜日に何色の服を先生が着るかも、娘の学校では決まっている。月曜日ー紫、火曜日ー赤、水曜日ー黄色、木曜日ーオレンジ、金曜日ー緑、土曜日ー青、日曜日ー白)

ワークショップでは、黄色、青色、赤色、緑色の4色を使って、どんな感情が伴うかを実験してみました。

すると、
黄色=軽く、優しく、まぶしく、クリア。→これは、幼少期の特徴と合致。
赤色=ワクワクする気持ち、動き、強さ、情熱、コントロールが難しい。→青年期
青色=能動的、流れ、あたたかさ、平和、生命力、テンション。→壮年期(+25歳)
緑色=くもっている、調和、新鮮、自然とのつながり、落ち着き→高年期(+60歳)


これは授業にもあてはまり、最初(黄色の部分)は、歌や祈りから始まる。気持ちが落ち着き、喜びや学ぶ意欲が満ちたところで、赤色の部分。今日のアクティビティーの説明などをする。青色はアクティビティーに没頭したり、シェアリングする時間。そして緑色で、閉める。

▲四つの感覚(touch, balance, movement, well-being)を養うこと

▲シュタイナー小学校の授業

・「教育は芸術」というのが、シュタイナーの考え方。一つの授業は、最初から最後までがお話のように流れていて、本当に美しいのです!

・子どもたちが登校したら、手を握って一人一人を教室に出迎える。「おはよう、元気?」子どものことを良く知っていれば、手を握って瞳を見つめるだけで、温度や握力の強さ、目の輝きからその子の状態がわかるもの。エネルギーをしっかり受け止めるとともに、良いエネルギーを送り込む最初のコンタクト。(参考図書:Developing the Observent Mind)

・月々で、集中して学ぶメインの科目を変える。今月は、毎日、算数が2時間ずつ。来月は、毎日、国語(英語)が2時間ずつ、というふうに。英語を学んでいる時は、算数のことはすっかり忘れる。(こちらでは「ブロック」と呼んでるけど、日本のシュタイナー学校だと「エポック授業」というのかな?)

・テストや成績はない。どうやって心に成績をつけるのか?そのかわり、個人成績表は12ぺーじ、ぎっしり!身体や動きの成長、感情の成長、社会性の成長、言語の成長、学業面(文字、算数、絵画、農業、モデリング、音楽、ムーブメント、工作、自然観察、ドローイング、英語、スペイン語)、食生活、衛生習慣について、本当にじっくりと一人一人を観察してくれている。とてもとても感動してます。

・すべてはリズム。呼吸。吸う時は集中、吐く時は発散。だから午前中に2時間、インテレクチャルな勉強をしたら、午後は、農作業など発散する作業。

▲シュタイナー教師としての役割

先生の役割/存在が非常に大きい。一人一人の子どもの精神的な発展を深く理解するため、小学1年生から中学卒業まで、一貫してずっと同じ先生。教師の情熱、コミットメント、自己成長、飽くなき探究心が求められる。

教師に求められるのは二つだけ
・人間に対する深い智慧
・自然に対する深い智慧

大切なのは、授業計画を練ること!とにかくプランニング、プランニング、プランニング!時間をかけて、詳細のディテールまで練り上げる。リハーサルもする。そしてシュタイナーは教育メソッドではなく、ライフスタイルだということを肝に銘じて、自分自身が全体的に成長していけるように、鍛錬をつまなくてはならない。(だからこそ、シュタイナー教育は素晴らしいと思う。何より、教師や親も自ら成長し続ける旅なのです!)

授業が始まる15分前には教室に行き、呼吸をする。その場の空気感を自分に取り込み、神聖な学びの場のセッティングをすること。

<教師の7つの約束>
・ファンタジーの世界を大切にする
ファンタジーといっても、現実世界としっかり結びついているもの。ただ単にふわふわしていていいものではない。前述したように、超人類的な物事との結びつきがしっかりできていると、その後の人生がより豊かに花開く。
・心からの一点のくもりのないコミットメント
月一回、時間をもうけて、自分自身で確認すること
・責任
・大きな枠組みと、細かいディテール
・世界と人類に対する飽くなき探求
・あきらめないこと
・常に新鮮な驚きやユーモアを忘れないこと
つまらなくなってないか、ほがらかな笑顔をたもてているか、良い模倣として生きているか

夜、寝る前に一人一人の子どもを思いうかべて瞑想する。

疲れて(Burn out)してしまったら、、、手を動かして粘土で何かを作る、音楽を奏でる、授業で読む詩や歌う歌を何度も何度も繰り返してみて、自分の体に染み込ませる。自分自信の成長をとめない。

一輪の花や一本の木などを選び、毎日観察を続けて、絵を描く。そうすることで小さな命の変化をもれなく感じて受け止める心の目が育つ。


〜追記〜

どんな親も多かれ少なかれ、子どもの教育に関心を持ち、既存の学校制度や授業内容に違和感を持つように、私も娘が生まれてから、子どもの学び育つ環境について、ずっと考え、よりよい方向に進むよう、直接・間接的に関わってきました。

8ヶ月の時から、「さくら・さくらんぼ保育」(どろんこ自然育児などの理念を持つ、日本初の素晴らしい教育哲学)を実践している鎌倉のぴよぴよ保育園に娘は通い、親デビューしたばかりの私たちも、そこで多くを学びさせていただきました。震災の後は、四国の仲間達と遊びの場作りをしたりして、地域で作っていく教育の大切さ、面白さを味わわせてもらいました。

タイに移住してからはモンテッソーリの幼稚園へ。クラスの子どもたちが全員、違う国にから来ているといったカラフルな世界で、はじめての仲間作りを体験した娘。「やりたい力を引き出す」というモンテッソーリ教育の考え方にふれて、「教育」(educare = 引き出す)の真の意味を理解しました。

私はこの頃から、土にごく近い生活を始め、幼稚園の敷地内にも子どもたちと有機農園を作ったりしました。

その後、旅をしながらホームスクーリングを実践して、コスタリカに拠点を構えてからは、全校生徒40人ほどの小さな田舎のインターナショナル・スクールへ。アメリカ人経営で、まだ既存のアカデミック教育がぬぐいきれてない感はありましたが、ゲームやディスカッションなど教育メソッドの多様さに感心しました。そして私も「地球市民」という授業を受け持つことになり、いよいよ家庭だけでなく、広く地域の子どもたちにも学びの場を提供するようになっています。

そして今年、出会ったシュタイナー教育。小学校になったからと言って(公立小学校がやっているように)無理やり地球上に着地を急がせるのではなく、超人感覚を大切にしていく。そのために祈り、歌、ダンス、物語、小人や精霊、妖精などのファンタジーにふれることの大切さを私も理解し、ませていて競争大好きだった娘も、素直に子どもっぽくまっすぐのびのび成長しているような気がして、大人も子どももより豊かに花開いていく学びの旅が続いています。

今年はシュタイナー学校で週1回農業の授業を教えるかたわら、シュタイナーの教育論、またマインドフルネスという仏教的な観点なども取り入れた、小さな学びの場を地域で作っています。そしてこの街に集まるたくさんの欧米人から、先進的な取り組みも教えてもらい、とても刺激を受けています。今年の夏、日本帰国時には、興味の似かようみなさんと交流を深められるのも楽しみです。


One Response to “シュタイナー教育ことはじめ”

  1. 佐賀章子 2016-05-19 at 12:13 PM #

    とても素敵な生き方を学べるんですね。

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