NVCを体感する、6月集中合宿を終えて

今年は、NVC(Nonviolent Communication:非暴力コミュニケーション)を深く学びこむ一年と決め、BayNVC Leadership Programという集中コースに参加しています。「意識変容や社会変革を促すリーダーを育てる」という趣旨のもと、カルフォルニア州に集まる一週間集中合宿が年3回、その間もオンラインのクラスが定期的に行なわれていて、ものすごい刺激、学び、つながりと成長の機会を得ています。

今回6月は、第二回目の合宿。カルフォルニアの森の中にあるリトリートセンターに子供たちや動物たちも一緒に生活をともにし(そう!キッズ・プログラムもあるのです)、ヨガや瞑想をし、森の中を散策し、クリーンフードをいただきながら、たくさんつながり、たくさん泣いて、たくさん学び、一瞬一瞬が全ての人の平和と癒しのためのプラクティスと成長にあふれる、魂の震える場を経験しました。

未だ続く対立に嘆き悲しむパレスチナ人の無念さ、新しいつながりを担保とした希望、不安と安心感、対立と和解。様々な場面とカラフルな感情にふれるたび、どれも愛おしくて、最後は涙が止まらず、それもそのまんまを受け止めてくれるソウル・フレンズたちの存在。人生で、世界でどんなことがあろうとも、NVCコミュニティーは心の拠り所の一つ。この場とつながりがあるからこそ、私はコアをぶらさずに歩み続けられる。参加者は世界各地からおよそ40人。備忘録として簡単でかつ個人的なメモ書きを記しておきます。


 

前回2月の一週間合宿は、 NVCを集中して学ぶ初めての機会だったこともあり、とにかくその衝撃と感動の渦にいました。例えば、前回の合宿後に書いた文章はこんな感じ:

NVCと言うのは、Nonviolent Communication、日本語だと非暴力コミュニケーションと訳されてます。ようは人同士のコミュニケーションの仕方を学ぶということなんですが、それはとても深く、慈愛の精神で自分と世界を見つめ、一点の精神の曇りなく自立して生きるようにするトレーニングにもつながってきます。ほんと、ヨガの世界ともとても似ています。表面的にはアーサナだったりコミュニケーション術だけど、学び実践していくと、とまらない〜。NVCは、その言葉を発信する当本人の私たちこそが、本氣で今ここで愛を持って自分もほかの人も受け入れるているか、「愛の存在」に私たちを整えるセルフ・ケア、セルフ・アウェアネス、プラクティスでもある。そして外の世界にもそのアウェアネスを向け、社会変革や世界平和を作っていくための人間づくり、国づくりを実践する哲学でもあり、ツールでもある。NVCはウェル・ビーイングを高めて、日々のコミュニケーションを改善するだけでなく、「本氣で今ここにいる人の話しを聴く」ことが求められるコーチングの現場でも活かされるし、リーダーシップ研修やビジネスの現場でも活用され、イスラエル・パレスチナ問題の調停でも深く根づいた心の分断を取り戻したり。あらゆるNVCのスピリットが、それぞれの現場でアヒムサ(非暴力)、深く結びつき愛で生きることを可能としてくれています。NVCと言うのが入りにくい人は、「自分や家族と世界との関わり方の方法」と言いかえてもいいかもしれません。どんなときも、愛を体験すること、命とは何か感じること。自分にも、家族にも、世界にも。このことが見えると、人生が変わります。見えるだけじゃなくて、やると世界が変わります。

…....と、ものすごく鼻息荒く書いていたほとです。2月の合宿では「じゃあどうやったらほんとにネガティブな感情を克服して、自分にも苦手な相手にも愛を持って接することができるか」の具体的な方法を習得し始め、それから4ヶ月、コスタリカで毎日、毎瞬間、実践し、ワークショップやコーチングにも生かし始め手応を感じて迎えたのが、この6月合宿でした。

さてこの合宿では、「どんなことがあっても、どんなに批判や非難、判断したり決めつけたり誰かのせいにしたりする気持ちが湧き上がっても、それを認めながらも、そこを助長させることなく、ただただひたすら愛と思いやり(コンパッション)をいかに持ち続ける自分でいられるか」というプラクティスを「理解していても、実践する難しさ」に直面した、という感じ。

それは、「NVCコミュニティー内で起こった揉め事を、どう解決するか」という生きた題材を、NVCにコミットしているほかの人たちが右往左往しながらナビゲートする様子を目の当たりにして、それぞれが繊細な心の部分にタッチし、時には耐えがたい苦痛を感じながら、それでも愛と思いやりを実践する大切さと難しさ。自分の中にも湧き上がる決めつけ、加担、批判や非難などなど、、、人間としての苦悩を超えて別の視点を手にいれるための道のりの長さ。そんなことをひしひしと感じて、あーほんとにこれは、修行あるのみ、練習あるのみ、コミットメントあるのみという意識を強くしました。

そしてほかの人に対してだけでなく、自分に対するジャッジメントなど様々に起こる気持ちをどう処理するか。自分を恥じたり、かっこつけたり、自分を小さく思ったりする気持ち。不安、恐れ、いかり、認められたい気持ち、無力感。誰でも実はどこかしらにあって、でもたいていの場合は、それを大したことでないと軽視したり、対処するのを後回ししたり、見て見ぬ振りをしたり。でも嫌でも心の奥底に正直にならざるをえない集中合宿の場では、逃げることはもう出来ないんですね。新しいパターン(習慣)を意識的に迎え入れ、そのプロセスはとても面倒で時間のかかるものでもあるのだけれど、それが本当に自分のものになるまで鍛錬していくことの大変さ、自分で自分を確かめる、価値を認めるそのワークの神聖さと大切さを実感しました。

そのために一人静かな内観の時間を保つなどセルフ・ケアをしてセンタリングをしたり、強い感情が湧き上がった時には正直に話してエンパシーをもらったり、時には気楽さや笑いを呼び込んだり、それぞれが工夫しながら信頼できるコミュニティーの中で、心を開き、解体作業を行なった一週間。朝は瞑想、ヨガから始まり、コミュニティータイム、午前中のワークショップ、ランチ、エンパシータイム(3〜4人で心の中を話し合い共感しあう)、午後のワークショップ、ディナー、夜のワークショップと盛りだくさん。

 

特に私の中で、学びの深かったのは次の3つの柱。

 

1. 癒し(ヒーリング)の力

ヒーリングとかヒーラーって、今まであんまりピンと来てなかったのだけれど、NVCプロセス(真の深いつながりを築く)以前に、強いトラウマや怒り、非難の気持ちなどある場合は、それを完璧に癒してあげないとうまくいかない。それを目の当たりにして、ヒーリングの重要性がよく理解できたし、その手法やヒーラーのあり方も学んだ。(でも決して、癒してあげなくてはいけない、という問題解決型の思考で入るのではなく、そのままを受け入れる。その痛みとともにいてあげるというスタンスが大事なのは、言わずもがな)。以下、個別のセッションの簡単メモ。


<脳科学とNVC、トラウマ・ヒーリング      サラ・ペイトン  her website here

トラウマ:共有できない辛い体験のこと(辛い体験そのものではなく、その体験を共有できない、つながりがなかったという側面が大切)

「タイムトラベル・エンパシー」:過去の辛い体験に戻り、トラウマに寄りそう方法:

脳みそにはAmygdala (アミグダラ:扁桃体)と呼ばれる、アーモンドサイズの神経細胞の集まりがあり、ここは恐怖や不安や喜びなど様々な感情を司るところ。アラームを発しているアミグダラを包んであげるように、つながりを持たせるというプロセス。(左脳は論理的、思考的。右脳は感覚的、直感的。「つながり」を感じることで、脳みそが育つ。つながりを感じない子供は、脳みそが発達せず、通常に比べて1.3kg軽量!!! )

1. Consent & Intentionality 同意と趣旨説明

2. Clear Observation of the difficult moment  辛かった体験の明確な観察

3. Body Input  身体感覚

4. Time travel to the difficult moment  辛かった体験へのタイム・トラベル 

5. Feelings and Needs guesses  感情とニーズの推測

6. Invite pasts Self to presenttime   現在への帰還

この手法は、コーチングのセッションにもろに役立ちそうです。


<ファミリー・コンステレーション  サラ・ペイトン >

コンステレーションとは、星座などの配置のこと。関連する家族や事象を、感覚的に配置し距離感やエネルギー、意味することを視覚的に捉え、そして体の感覚やエネルギーに細心の注意を払うことで、思考では生まれないような感覚的な解決法を見出す。実際に生きた題材でワークをしてみて、パワフルでなるほど感はあったものの、自分で実施するにはかなりの直観力が必要そう。とにかくサラが丁寧に一つずつ確認しながら、プロセスに寄り添う姿が印象的でした。

 


<セルフ・インテグレーション アヤ・カスピ>

自己統合のワーク。自分に対しての怒りや恥、罪悪感、不安など全てのパーツに名前をつけ、自分の全体性を抱きしめるというワーク。(下記ノートの右ページ参照)完全なる自己受容、自己慈愛、自己信頼に行き着く。実際の事例をもとに経験したけれど、とてもパワフル!特に、日本人にはと・て・も、向いていて必要なワークと確信しました。

 

 

 

2. それぞれの存在価値を受容し合うことの大切さ(Mattering)  

話している内容自体がどう理解されるかもそうだけれど、実は「心から批判やリアクションなく、聴いてもらえているか?(Am I heard?)」「そもそも私自身の存在価値は?(Do I matter?)」ということが、私たちにとってとても大切だということ。人間は誰しもに、承認欲求がある。つながりを求め、尊重されたい、どこに自分が所属しているのか(belonging)の確信を求めている人多い。最終的には、自分が自分を認め、自分自身を尊重し、自分という家に所属することが何より大切だとしても。Mattering. I matterという感覚がどれほど生きる軸をしっかりさせ安心感を与えてくれることか!


<和解のプロセス ロクシー・マンニング> (上記ノートの左ページ参照)

1. 何かしらの対立を感じた人に、心から正直に話してもらう -  充分に聴く。共感を返す

2. それを聴いてどう思ったかを表現する - 自分にとってどんなインパクトがあったかを伝える

3. なぜそうしたかを返す - 新たな理解を促す

4. 次のステップは? - 決して相手のことではなく、全体性を見て取れる次のステップを示す

 

Am I heard? Do I matter?  常にこれを意識しながら、「目の前に存在する命への敬意」を払って人と接すること、ファシリテーションすることを心がけること。


<グループ・プロセス ロクシー・マンニング>

1 . Attention to Mattering - 存在価値へ意識を向ける

2.  Speaking into the group - なぜこのことを表現する意味があるか?

3.  Making the request to the group - 閾値(しきいち)を変える 

4.  Tracking - 全ての項目をフォローする

5.  Feedback - 心からのギフトとして与える

 

 

3. 調停のスキル

すでに友達夫婦間のいざこざについて相談にのったり、コーチングのセッションで実践していることだけれど、調停(ミディエーション)のプロセスを実際の事例で客観的に観れて、しかも順序立って説明を受けられたのは、とても豊かな時間で大きな学びだった。


<調停ワークショップ アヤ・カスピ>

調停者とは、対立関係にある本人たちの翻訳者。それぞれに対して、なめらかな共感を充分に与えるのがプロセスの肝。そのためには一つ一つ噛み砕きながら、ゆっくり丁寧に焦らずに。お互いの声をしっかり心の奥底のやわらかい部分で聞けるようにサポートしていく。そのためにはセルフ・コネクションを忘れずに。決してニュートラルにいなくてはならないということではなく、自分のエネルギーを出してよい。時間は長くても2時間で抑え、集中力を持続させる。

1. それぞれと一対一のセッション

2. 調停者の意図(下記の詩を参照)

3. チェック・イン

4. 課題のシェア(プロセスの肝)

5. リスポンス(プロセスの肝)

6. チェック・アウト

"Lord, make me an instrument of Thy peace;
Where there is hatred, let me sow love;
Where there is injury, pardon;
Where there is error, truth;
Where there is doubt, faith;
Where there is despair, hope;
Where there is darkness, light;
And where there is sadness, joy.
O Divine Master, Grant that I may not so much seek
To be consoled as to console;
To be understood as to understand;
To be loved as to love.
For it is in giving that we receive;
It is in pardoning that we are pardoned;
And it is in dying that we are born to eternal life."    -  St Francis of Assisi


<リストライティブ・プロセス>

コミュニティーや組織などの複数人が所属するグループで問題が生じた場合に活用するプロセス。トーキング・スティックなどでそれぞれが心にあることを出し切るまで話し合う。印象に残ったのは「ナマステ(私の内にある光が、あなたの内にある光を見ます)」だけでなく、「ナマスナイト(私の内にある闇が、あなたの内にある闇を見ます)」という言葉遊び。NVCの側面を端的に表していて、真実。「ネガティブな感情」とやっかい扱いされてしまいがちだけれど、それも含めて、受け入れるという姿勢を持ちたい。

 

この三つの大きな学び以外にも、<自分を愛し、ほかの人を愛し、パートナーを愛するワーク  アヤ・カスピ>では、“If you truly love yourself, you will not hurt others.(Buddha) “   ということを再確認したり、<エナミー・イメージ(敵対心を溶かす方法) フランソワ・ボーソレイユ>のプロセスもおさらいしたり、<NVCと子育て>は、、、もうこれは本当にリッチ過ぎて、再考が必要なのでまた別途、記述。

 

これらの全てのことを集中して味わいながら過ごした一週間は、とてつもなく長く、でも一瞬のようにも感じた、特別な時空でした。今は心が充満していて、ヴィッパーサナの後のような研ぎ澄まされた感覚で、全ての感情をしっかりありのまま抱きしめ愛おしんでいて、いつでも涙がこぼれてきます。前回の2月合宿の後も、2週間ぐらいは泣けたんだっけ、、、でもその後、フツーの状態に戻ってしまい、心が麻痺していく感覚を味わったのでした。今回もいつでも泣ける期間が続くといいな、と思ったり、でもそれも期待せず、ただただ私を生きる修行を続けるのみです。

滞在中に、これまで体感したことのないほど強烈な共感を与えることができて、自分の成長をお祝いしました。これからも愛ある存在として誰しにも寄りそえるように、平和を自らが体現できるように、心を柔らかく魂をピカピカに保っておきたい。

平和はここから私から。私の平和から世界の平和へ。また、ここから。次の10月合宿までの4ケ月間、慈愛の旅を続けていきまーす。