ラブロック博士「核エネルギーしかない」

Image013.jpg今日はまちに待ったジェームズ・ラブロック博士の講演会!ラブロック博士を知ったのは、ドキュメンタリー、ガイアシンフォニー(地球交響曲)第4番 (龍村仁監督)を見た事がきっかけでした。ラブロック博士は、イギリスの生物物理学者で、「地球はそれ自体大きな生命システムである」という「ガイア理論」の提唱者 。この「ガイア理論」は、地球生命科学の分野に様々な刺激を与え20世紀末の環境保護運動の理論的支柱となり、人々の霊性の目覚めにも大きく貢献してきました。私もご多分に漏れず、なぜかしっくりくるその理論と温厚な人柄にすっかり虜になってしまった一人です。

今日の講演会を主催したのは、私が現在参加している環境学のコースをまとめているイギリスのNGO、 “Forum for the Future”という取り合わせもあって、前々からとても楽しみにしていたのです。講演会のタイトルは”Gaia and Global Change” (ガイアと地球温暖化)でしたが、内容のほとんどは、エネルギー問題。エコロジー科学者として知られるラブロック博士はここ最近「エネルギー問題を解決するには核燃料しかない」と唱え、世界中の注目を集めているのです。壇上にあがったラブロック博士は優しい目の白髪のおじいちゃん、84歳。

「私は常にグリーンな科学者です。その私が核エネルギーをサポートしているということは、みなさん、びっくりすることでしょう。でも全て個人的なガイアへの愛からの考えなんです。私が少年時代のころは、イギリスの田舎は本当に綺麗でした。そこには手つかずの自然がありました。でもそのほとんどが今は消えてしまいました。私たちは地球を病気にしてしまいました。レイチャル・カーソンの「沈黙の春」を覚えている人は今はとても少ないんです。熱帯雨林の破壊、大気圏、エコシステムの破壊は壊滅的です。京都会議から既に7年経ってるけれど、何も進んでいません。」…… 博士の言葉だけが響く会場はおもーい雰囲気に。

「もちろん化石燃料からクリーンなエネルギーへの転換は必要です。でも時間がかかりすぎる。遅すぎるんです。アメリカの政策、そして急成長のインドと中国のことを考えると、私たちは核エネルギーに頼るしかないんです。マスコミは核は危険だ、核廃棄物をどうするんだと騒ぎだてるけれど、そんなに危険じゃないですよ。イギリスで10年間核施設を稼働させたとしても、家一個分ぐらいの廃棄物しか出ない。コンクリートでこれを埋めてしまえば、放射能漏れが起こる可能性は限りなく低いんです。とにかくこれ以上、二酸化炭素を排出して、ガイアを汚してはいけない。ガイアと平和に過ごさなくてはならない。これが私たちのお家なんですから。」と淡々と講演は終わりました。

ガーン。博士が核エネルギーをサポートしているというのは本当なのね。でも今年の夏の美浜原発での死傷事故はどうなの?チェルノブイリがまた起こってしまう危険性はないの?いろいろなハテナマークで頭が混乱しましたが、講演の後、会場外のバーに移動して、ラッキーにも博士と個人的にお話する機会が持てました。

「日本は何回も行ってるけど、大好きな所だよ。美浜原発?だってあれは蒸気噴出事故でしょ。ソーラーや風力?だって現実的に考えて、全部のエネルギーを供給できないよ。核エネルギーに頼るしかないんだよ。」と博士。

もちろん博士は、どこもかしこも原子力発電所を建設すればいいと言っているわけではありません。一人一人がエネルギー消費を抑制する生活をしたり、自然エネルギーの利用を増やしていくことが重要なのは当然のこと。でも世界の現実を冷静に見ると、全エネルギー消費を自然エネルギーに頼るのは楽観的すぎる。現実的に考えると核エネルギーしかないと言っているのです。

ガイアを一番愛しているラブロック博士が、しょうがなく核エネルギーをサポートするところまでガイアは健康を害してしまっているんだ…..とも言えます。しかし核エネルギー、私の認識を覆すような博士の発言の数々。ちゃんとリサーチしてみなくっちゃ、と博士にあって気を引き締められた一日でした。

(なお、日本では12月4日より、東京・下高井戸シネマでガイアシンフォニー第1番から第5番まで一挙上映!12月30日まで。この機会に是非一人でも多くの人に見て頂きたい映画です。詳細は劇場03−3328−1008にお尋ね下さい。)

James Lovelock website
ガイアシンフォニー (地球交響曲)