新春のわかめ漁で感じる「鎌倉タイム」



「船が漁から戻って来たぞー」鎌倉・坂の下の漁師さん、木村さんがかけ声をかけると、陸で待ち受けていた私たちは、とたんに忙しくなる。小さな漁船には、海からあがってきたばかりのワカメが、船底が見えないほどてんこもりだ。一本一本、丁寧に扱いながら、葉元をそろえて茎ワカメとなる固い部分を包丁で切り落とし、大きな釜で湯で上げ、真水で洗い、一本一本、これまた丁寧に干していく。所要時間、およそ3時間。その間、黙々と作業は続けられ、意識はいつしか海へ、そしてこの地で漁が始まった遥か昔へとトリップする。

全作業工程はこんな感じ。わかめ漁(というか、わかめ干し)のお手伝いに誘ってくれた、一花屋のふえりこ作。

海からあがって来たばかりのわかめちゃん。柔らかくて美味しい!磯の香りがほんのりと。

春の風が吹く陽気であれば、1日2日でしっかり乾燥する。

この時期、わかめ漁のお手伝いに来てるのは、私たち若者だけでなく、80歳のおじいちゃん、おばぁちゃんもいる。もー、そのほんとに元気なこと!こちらが元気をもらってしまう、というのはなんだか人里離れた田舎に行った時のような感想だ。家から自転車で5分のところに、年代も価値観も全く違う人たちの海と深い関わりのある営みがあるなんて、全く想像もしてなかった。

わかめ漁は、私にとっては一種のセラピー。やることてんこもりの日常からふと抜け出し、悠久の自然の時間に身を置いて、淡々と肉体労働すると、心身ともにすっきりリセットされて感覚も冴える。だから午前中はまるごとつぶれるけれど、午後の仕事はものすごくはかどる。ふえりこさんは「半漁半カフェの生活が、気に入ってるのよね〜」と言っていたけど、私の場合は、「半漁半X」。Xには、仕事やxChangeのようなプロジェクトが当てはまる。

そしてわかめ漁は、自分の住んでいる場所にある自然資源を見直すことでもある。海があるから、食べものがあり、私たちは生きている。その日の夕飯を、母が肉体労働して、とってくるなんて、ものすごく原始的でステキだ。フード・マイレージは限りなくゼロに近い。環境問題の解決って、あぁこういうことなんだな、ってつくづく思う。自分が食べているものがどのようにとられ加工されてここまでやってきたのかが、はっきり体験として分かっているということが、どれほど大事かを思い知らされる。時間をかけて、体を使って、人と自然とつながり合わないと、そういう気づきは生まれない。

2月に入って、なんだか忙しすぎた。今年に入って予想していた以上にxChangeのオファーや取材が増え出し、xChangeから派生して頂くお仕事も多くなった。それはそれでとても有り難く一つ一つ心を込めて望んでいて素晴らしい充実した時間だ。社会と関わってシフトを促して行くのは、私のやりたいことだし、使命だと思っている。でも一方で帰宅が遅くなったり、エネルギーが生活に向けられなくなっていたのも確か。考え過ぎかもしれないけれど、3歳になったテラがなんとなく不機嫌だったし、自分自身も食生活が乱れて、体調を崩しそうになったりした。

できることなら、もっとゆったり暮らしたい。生活の基本を大切にしたい。テラともう少し時間を過ごしたり、家の小さな畑を手入れしたり、なんでも手作りに挑戦したり、家族や友達との時間を大切にしたり。昨晩、「地球交響曲第3番」を見て、深い気づきが色々とあったのだけど、その中でも”It’s all about life”と言っている人がいたっけ。

で、わかめ漁だ。バイトではないから、経済活動ではない。でも労働の対価として、新鮮なとれたてわかめをたんまり頂ける。家までの帰り道、仲良しのご近所さんに分けて歩くと、かわりにとお菓子やらおにぎりやら下さる。これぞ物々交換の極意!人のつながりと地域の豊かな資源があれば、お金はあまりかけずに生活できる。

それでいいんだと思う。それがいいんだと思う。鎌倉の仲間の間では、今「低収入低支出」を目指したいよね、という話が盛り上がっている。「お金を使わず一年間暮らしたイギリス人」は、1年経った感想として、「こんなに穏やかで満ち足りた暮らしはない、もうお金のある生活には戻りたくないし戻らないと思う」とのこと。もちろん家賃はらったり、旅に出かけたりする自由な資金も必要なので、バランスだとは思うのだけど。

しかし私の場合、生活の限定に立ち返り、自然と調和して暮らせば暮らすほど、それを発信しませんか?と仕事のオファーも増えるから、不思議。ありがたい。でも常に基本は生活。それがおろそかになってしまっては、本末転倒だ。暮らしにフォーカスした実体験が、社会では求められているんだな、と思う。

とにかく時間の使い方や生活の優先順位に想いを巡らすことの多かった2月後半だった。こうやって自分の価値観にあった時間の過ごし方が身に付いてくるんだろう。最近は、今年一番の忙しい波をやっと乗り切り、庭でとれた甘夏をしぼって、隣に住むダリ(コロンビア人の先住民族のような人!)にゼリーにしてもらったり、皮はマーマレードにしたり、ケーキにしたり!手作りオーガニック生活を満喫している。これぞ「鎌倉タイム」。

「手作り」や「季節感」をテーマに自主保育を始めている金城理恵ちゃんが「味噌作らない?材料あまったから持ってくわー」と遊びにきたので、子どもたちと一足早いひな祭りパーティーもした。そして翌日、テラと一緒に手前味噌を作った。半年後が楽しみ〜!美味しく発酵しますように。ゆっくりと、少しずつ。

4月からはいくつかレギュラーのお仕事を頂いた。しっかり取り組みながら、なるべくゆったりした時間を大切にしよう。っとその前に、まずは来週からハワイ島に行ってきます〜〜!始めて行くハワイ、久しぶりのアメリカ。世界有数のパワースポットで感じる地球のリズム。本当に楽しみ〜〜〜。ワイピオバレーでキャンプしたり、ホットポンド(温泉)につかったり、マウナケア山頂でのサンセットを見たり、カラーニでヨガしたり、パフォアでどっぷりオーガニックライフを楽しんだり、サーフィンしたり…とやりたいこと盛りだくさん!なのだけど、基本的にはのんびり家族とのバカンスを満喫してきたいと思う。

帰国したら、鎌倉の海のわかめ漁はもう終了している。次は、サザエとエビ漁だそう。「お手伝いすることありますか?」と聞いたら、「エビ網のごみ取りの作業があるから、また来てね〜」とのこと。海のそばで淡々と黙々と、ゆったり鎌倉タイムを感じに、また手伝わせてもらいに行こう。その前に、まずはハワイ島へ!行ってきます。