CSRを実現する道具としての地域通貨

csrevent.jpgきのう「CSR(=Corporate Social Resposibility, 企業の社会的責任)を実現する道具としての地域通貨〜ブログ、金融制度、ポイントスキーム」というシンポジウムに行ってきました。CSRと地域通貨?ってちょっと首を傾げる組み合わなんですが、今ちょうどインターン先のNGOでCSRについてリサーチしているので、日本ではどんなことが話し合われているのだろう?と興味があったのです。

主催はNTTデータ経営研究所(ここはわりと若い人が中心に面白い事をやっているみたい)で参加者はおよそ100人。ほとんどが背広を来た企業の方たちで、ちらほらNPO系や自治体からの参加者もいました。

シンポジウムでは大学教授、NPOの代表、金融機関の取締役などの人たちがそれぞれの立場から「持続可能な社会におけるCSRとは?」「欧米の地域通貨事例の紹介」「CSRとの連動によるコミュニティ・ビジネス」などのお題で発表されました。知らなかった欧米の地域通貨の事例も紹介されたりしてそれなりには面白かったんですが、イマイチまとまりがなかったというのが正直な感想です。

それほど私が地域通貨に期待していない、ということもあると思います。ただやはりテーマの設定としてCSRと地域通貨を結びつけるのには無理があるのではないかという気はします。(しかもサブタイトルの〜ブログ、金融制度、ポイントスキーム〜というくくりもきちっと問題定義・議論されるまま終わってしまったような気がします。)

まずCSRを論じる場合、法制定とかガイドライン作成とかステークホルダー・エンゲージメントとかが本流の議論で、地域通貨の利用っていうのはかなり支流の議論という気がします。それから地域通貨はCSRというよりも「地域活性化」や「循環型社会の創造」という切り口で語った方が断然ピンと来ると思います。シンポジウム終了時に主催者の方にそう聞いてみたら「確かに。でもCSRってつくと、お客さん集まるんですよ」とおっしゃっていたので、あーなるほどな、と思いました。時代はやっぱりCSRっていう言葉に反応しているわけですね。

まぁテーマ性はさておき、いくつか考察すると:

1)日本のCSRやSRI(社会的責任投資)の現状は、欧米に比べてかなり遅れている(イタリアのバンク・エティカの事例が参考になった:下記メモ参照)→事例の紹介やアイデアと行動力の必要性
2)CSRを活性化させていくためにはNGOのプレッシャーなどの働きかけや連携が必要だが、日本ではそこまでしっかりとしたNGOがほとんどない→NGO強化の体制作り(ネットワーク、資金、Capacity Buildingなど)
3)地域レベルでは規模の小さい取り組みがあるけれど、ネットワークや広がりがない

でもまぁ、新しい人のつながり(mixi参加者が多かったのにはびっくり)も出来たし、日本でのCSRやNGOの現状が把握できたので良かったです。これからCSRに関してはちょっと日本でも探ってみようと思います。

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だいぶとんでたり抜けたりしますが、以下メモです。

1)京都大学の植田和弘教授
ー持続可能な社会におけるCSRとは?というタイトルで発表。
ー持続可能な社会=環境・経済・社会の共進化社会。
ーCSRとは、透明性・説明責任を高める。価格化されていない環境価値への配慮。経営活動のプロセスに社会的公正や倫理性、環境への配慮をすること。
ー企業のCSR経営が成立するための前提条件がどれだけ作られるか。消費者、地域、投資家の理解が必要。企業の中にも関係資産やノウハウが蓄積されていく必要がある。
ーほんものの消費者とほんものの生産者
ー元気のいいNGOは?という私の問いには、気候ネットワーク京都の環境市民教えてくれました。

2)株式会社NTTデータ経営研究所の溝内さん
ー欧米の地域通貨事例について発表。CSRを実現するツールとして、地域通貨がどのように使えるか。
ーイタリアのLIBRA(イタリア語で天秤という意味)。ミラノの大学にて開始。来年度からミラノで実験開始。個人が企業から買い物をするとボーナス・ポイントがつき、一週間に1%がボーナスからドーナスへ転換。ドーナツはNPOにしか寄付できない。
ーフランスのSOL(フランス語で土壌という意味)。来年度から国内3カ所で実験開始。EUから2億円の寄付。健康保険書がIC対応になっているのでそれを使う。
ーアメリカのCHC(Community Hero Card)。残念ながら実施終了。1997-2004年まで社会実験。
ーCause Related Marketingという考え方
ー仕事では「包括的地域通過システムの情報共有システム」を構築中。乞うご期待!

3)NPO法人地域環境ネットワークの三浦逸朗さん
こちらにブログ

4)農林中金総合研究所の蔦谷さん
ー地域に根ざした金融(金融の地産地消)の必要性。色々なニーズに対応できる厚みのある金融システム。
ー事例紹介:ソーシャルバンキング(イタリアのパドバの倫理銀行。バンク・エティカ)
4つの貸し出しが出来る領域(社会的共同、国際的共同、環境に関する貸し付け、文化・市民・社会に対する貸し出し)と目的がはっきりしている。NPOとの連携がとれている。
ー社会的審査が行なわれた上で、一般的な貸し出しの審査が行なわれる
ー貸し出しだけではなく、事業がうまく行くかどうかをサポートしている(アドバイス、販売に協力するなど)
ー貯金が3億ユーロ、貸し出しも2億ユーロとまだ小さいけれど、年々数十パーセントの伸び。
ー店舗がなくても展開できる仕組みを作っている。
ー食べ物通貨。ピタパー(pitapa)ポイントをCSRに活用。

5)CSRとの連動によるコミュニティビジネス・NPO支援策 金森さん
ーイオン「幸せの黄色いレシート」の評価
ーお客さんとの新しいコミュニケーションを創る=CSRの選択権は「環境なのか、子育てなのか、高齢者なのか、社会なのか、何に感心があるのか?」お客さんへ委ねる。

6)立命館アジア太平洋大学の副学長、仲上さん (ディスカッションのコーディネーター)
ー不思議の国のアリス。誰でも自分が主役になりたい!5時までは仮面をかぶって、その後は自分探しをするけれどなかなか見つからない。スイスでは失業者会議。まじめに働かなくたっていいのでは?

金森さん
ーセクター自体にお金が流れる仕組みが社会にない
ー企業の広告宣伝費がCSRでいいと思っている

染谷さん
ー教育、団塊の世代に期待したい

谷合さん
ーNPOの広報が下手