CSR入門

CSR入門?「企業の社会的責任」とは何か
岡本 享二

日本経済新聞社 2004-12
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地球の未来を明るくする一冊
熱いメッセージが込められている
CSR入門から学ぶ

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先日行ったセミナーである人が勧めていて、タイトルにひかれて読んでみました。内容はタイトル通り「入門」ですが、CSRの基本的な考え方や事例は分かりやすく解説されています。また「企業におけるCSR組織の策定と展開」という章では、CSRを実践するさいの具体的アプションプランが五つ(1)経営トップのリーダーシップの必要性、2)CSRの本質の理解、3)全社を統括するCSR組織の策定、4)情報技術(IT)の有効活用、5)ステークホルダーとのコミュニケーション)提示されているため、CSRに関心がある経営者でも充分ためになる一冊だと思います。

特に著者の「CSRの本質とは、地球環境の保全、すなわち生物多様性の保護や生態系の維持である」という一環したスタンスには納得します。著者は「46億年の地球の歴史を一年間のカレンダーにたとえると、地球誕生は1月1日0時、人類誕生は12月31日午後11時37分、産業革命は午後11時59分58秒にすぎません。地球の46億年の歴史を振り返ってみれば、瞬間といってよいほどの短時間に、これだけ地球環境を悪化させたのです。経済至上主義がいかにすさまじい弊害をもたらしてきたのかを思い知らされます。」と言います。CSRの本質をいまいちど捉え直し、生態系に調和する新しい経済システムを創っていかなければならない時に来ていると痛感しました。

興味深かったのはなぜヨーロッパではCSRが盛んかという分析。まず市民社会が成熟していること。それからNPOの積極的な役割が関係していること、と著者は言っています。以下本書からの引用です。

「ちなみにヨーロッパにおけるNPO・NGOに対する捉え方は、日本と少し違っています。ヨーロッパのNGO・NPOは、いわゆるエリート集団が引っ張っており、政府もそれらの組織を活用するために、資金的なバックアップをして政策を進めています。政府とNGO・NPOのつながりは強いものの、互いに癒着構造にはならないよう独立の関係を築いています。(中略)ヨーロッパでは社会問題が認識されると、政府が規制をつくり産業界がそれを守るという従来の古典的利害調整から、NGO・NPOが中心となって直接企業に働きかける民主的な構造が出来上がっているのです。(中略)ヨーロッパでCSRが盛んな背景には、NGO・NPOに代表される市民の手を借りた民主主義構造がつくられていることがあります。日本でいわれるようなCSRとコンプライアンスをむ結びつけるような傾向はあまり見られません。むしろコンプライアンスは法令遵守という点からCSR以前のものとして捉えています。」

やはりNPOやNGOがもっと成熟して、企業と協調体制を築きながらCSRの文化を日本でも活性化させていく必要性があるということではないでしょうか。