魅力ある伝え方

先日、「お金をドブに捨てない広報とは?』という勉強会が環境省で行なわれました。講師をされたのは関東学院大学の織朱實(おり・あけみ)さん。織さんは行政法と環境法がご専門ですが、環境省から普及啓発についてのリサーチも頼まれたりして、ヨーロッパに視察に出かけたりされているパワフルなおばさまです。

そう、世間は、京都議定書の発効や愛知万博の開催で、空前の環境ブーム。新聞でも頻繁に取り上げられているので、そう感じている方も多いでしょうし、実際、エコ・ライフを実践している方も増えています。ただ「イマイチ理解できない」「何をしたらいいのか分からない」「私が気をつけて一体、何が変わるの?」という人も多いのも、また事実。そこで、環境問題をどうやってみんなに理解してもらって継続的な行動に移していくのかのキーとなるのが「コミュニケーション戦略」。せっかくいい取り組みをやっていても伝わらなかったり、一部の人が焦っていても前に進まないわけで、一人一人が自覚を持って行動していくにはどう伝えていけばいいんだろう?といのが、世界的に政府やNGOの大きな関心事として最近認識され始めているのです。

「コミュニケーション戦略」に関して、メモより気になった点。

  • ヨーロッパは日本よりもずっと「コミュニケーション戦略」が徹底されている。決定的な違いはマーケット・リサーチ。誰をターゲットに、どのような情報を、どこから発信するのか。ヨーロッパではお金をかけて世間の出発点を徹底的に調査し、ターゲットを絞って具体的な戦略をたてる。 (勉強会では、若者をターゲットにした、地球温暖化に関するTVのコマーシャルを見せてくれたりして面白かった。)
  • 戦略で大切なのは、次の三つ。1/ターゲットを理解して、絞る2/事後評価3/役割分担。
  • 1/について。日本はターゲットを絞らず、一般的・抽象的対象に向けての施策が多く、せっかくキャンペーンをやってもぼやけてしまう。(例えばチーム・−6%なんて、そうかも)それに対し、ヨーロッパはターゲットをしっかりと決める。例えばスウェーデンでは、情報を与えれば動く500万人を「眠れる地域社会活動家」と特定し、施策のターゲットにしている。
  • 2/について。施策にどれぐらい実効性があったのかを調査し、結果に忠実に軌道修正をはかる。例えばイギリスの少し前のキャンペーン”Bit More”はさんざんな結果だった!
  • 3/について。役割分担は、国・地方自治体・NGOのそれぞれが、お互いの持ち味を活かしてどう連携プレーをとっていけるか、ということ。織さん曰く、国は「大きな部分の意識づけをエモーショナルに展開する役割」、地方自治体とNGOは、「地域のコミュニティーで実際の行動に移して行くのを助ける役割」。
  • 「大きな部分の意識づけをエモーショナルに展開する役割」とは、「教える、知識を与える」というよりも、共感をよび、納得してもらう、ということ。
  • ヨーロッパと日本ではまず政府の体制が違う。ヨーロッパの国ではコミュニケーション戦略を担当するチームが省内にいて、メディア、広報、マーケティングなどのプロが配置されている。何でもかんでも外注してしまう日本の体制とは違う。
  • リーフレットを作るんであれば、3ページまで。それ以上、細かく書いても読まれないで捨ててしまわれことが多い。情報は思い切って捨てて、詰め込みすぎない。(組織の上に行けば行くほど、リスク回避として、あれも書かねば、これも書かねば盛り込み過ぎがちになるので、要注意。)
  • 恐れではなく、ポジティブなメッセージで。
  • 環境教育と普及啓発は別もの。環境教育はより長期的な視野にたった取り組みであり、ターゲットは低年齢層。効果はすぐでないが、持続性が期待できる。(例えばどこかのアンケートで、「環境に配慮した活動ー例えば電気を消すとかーをしているのは、子供に言われたから」と答える人が多かった。)
  • 人は論理的には動かない。普及啓蒙への過剰な期待はだめ。
  • おしつけはみんな嫌う。選択肢を残してあげる。有名なアメリカでの話。お母さんを集めて、脱脂粉乳についてのヒアリング(だっけか?)をした際、半分のチームは「脱脂粉乳はこんなに良くない」という一時間の講義。もう半分のチームは「脱脂粉乳に賛成か、反対か」という一時間のディスカッション。その結果、両チームのお母さんとも脱脂粉乳を使わなくなったが、講義を受けたチームは、その行動が一週間しか続かなかった、とのこと。自分が考えて納得したことでないと、続かないという好例。
  • 施策と結びついた普及啓蒙活動は効果的。
  • 日本人は何に関心があるのか?を考える。フランス、ドイツは理念や教育、オランダはお金の節約が関心ごと、という大きな違いがある。

まだまだ色々あったような気がしますが.. 個人的には知っている施策や固有名詞も出て来て、なんだか久しぶりにヨーロッパの風を感じて、グローバルな事例でとても嬉しかったです。(環境省にいると、結構ドメスティックだったりするんで…) ほんと、この分野は日本政府で特に欠けている所なのでとても大事だと思います。 この勉強会をオーガナイズしてくれたのは、環境省の若手、浜島さん。環境省にも若いセンスとやる気を持っている特に若い方がたくさんいるので、今後の展開に期待しています!浜島さん、どうもありがとう&お疲れさまでした。

次のエントリーで、「コミュニケーション戦略10原則」ものせておきます。