海賊版撲滅キャンペーンに思う

週末、久しぶりに映画館に行って、大画面、大音量で映画を楽しんで来ました。そこで、びっくりしたことが一つ。それは予告編の時に流れた「海賊版撲滅キャンペーン」のCM。神妙な顔つきの女優さんに、「誘惑に負けて大切なものを、見落としたくない」といった文字が重なり。そして彼女の涙の映像に続いては、「買わない、売らない。あなたの意志で、この犯罪は阻止できる」というメッセージ。JASRACの「私達は文化の創造のために活動しています」という広告を見た時と同じで、なんだかものすごく空々しく響いた。びっくりしたというのは、ものすごく時代錯誤的な感じがしたからだと思う。

帰宅して、ネットで調べると、模倣品・海賊版撲滅キャンペーンサイトというのを発見。あー、確か電車の中吊り広告でも見たな。特許庁と経済産業省の合同キャンペーンのようだ。キャンペーンでは、模倣品(ブランド品、時計、電化製品など)と海賊版(音楽CD、映画DVD、ゲームソフト)に関しての情報提供や、撲滅のための呼びかけを行なっている。

数年前に中国、上海に行った時のこと。どう見ても海賊版の映画DVDを激安で路上で販売している数人のおじさん達がいた。絶対怒られると思って私がカメラを向けると、みんなニコニコと笑顔で応対してくれる。あーこの人たちは罪の意識なんて全然ないし、取り締まりも行き届いてないから警察だって怖くないんだなぁと感じた。

またタイでの一場面。ふらっとDVD屋さんに入って物色していると、「価格は二つあって、高いのはコピー。安いのは劇場で録画してきたやつだから、映像とか音とかの質が良くないよ」とお店の人。こんなことはアジアでは当たり前のこと。当たり前だから良いというわけではないけれど、「もうハリウッドはガッポリ儲けてるし、途上国の小さな商店が潤って何が悪い!」と思ってしまったのも事実。

もちろん、他人のクリエイティビティーを勝手に盗んで、大々的に金儲けをするのは言語道断。だから一人一人に対しての教育や啓蒙は重要だとは思う。特に粗悪な品質の模倣品は、ブランドのイメージを毀損することにもつながってしまう。

確かに海賊版を利用することは、「今まであった」ルールには違反している。でも、今まであったルールが、これからの時代に妥当とは限らない。模倣品や海賊版の普及に焦る人たちは、今まであった(お金儲けの)ルールに固執して違反者を取り締まることだけに躍起になるだけで、未来のビジネスモデルへのビジョンを欠いている。

ちょっと話はそれるけれど、アフリカのエイズをめぐる戦争でも、エイズ新薬の特許は今でも大きな問題になっている。「薬の特許」と「人の命」とどっちが大事なの?お金儲けは一休みして、社会のいろいろなシステムやルールが「所有」から「共有」という概念に変わって行かなくちゃいけない、と思う。