ラブロック博士の地球温暖化手遅れ説

Image013.jpgガイア理論を唱えたことで一躍有名になり、世界の環境政策にも影響を及ぼすイギリスの著名な科学者で愛すべきおじいさま、ジェームズ・ラブロック博士が、先月16日「地球温暖化は、すでに引き返せる地点を越えてしまった」という英国インディペンデント紙に寄せた衝撃的な記事をめぐり、イギリスや環境問題に関心のある人たちの間で、活発なディスカッションが行なわれています。

英語の寄稿文はこちら: (日本語訳はこちらで読めます。)
“The Earth is about to catch a morbid fever that may last as long as 100,000 years”

ラブロック博士は、以前から「私たちの消費を満たすのは、もはや原子力エネルギーしかない」と言っていたので、そうびっくりする内容ではないのですが、ただ今までよりも強いトーンで、私たちに最終警告をしていると言った感じです。

寄稿文では「これを書く事は、今まで僕が書いたどんな文章よりもつらい作業だ。悪いニュースだけれど、皆さんに伝えなくてはならない」とした上で、ラブロック博士は次のように述べています。

The climate centres around the world, which are the equivalent of the pathology lab of a hospital, have reported the Earth’s physical condition, and the climate specialists see it as seriously ill, and soon to pass into a morbid fever that may last as long as 100,000 years. I have to tell you, as members of the Earth’s family and an intimate part of it, that you and especially civilisation are in grave danger.

「専門家は地球が重態で、10万年続く熱病におかされると診断しています。気が進みませんが、私たちの文明が危機的な状況におかれていることをお知らせしなくてはなりません。」と。では、どうしたらいいのか?ということについては、博士はこう書いています。

So what should we do? First, we have to keep in mind the awesome pace of change and realise how little time is left to act; and then each community and nation must find the best use of the resources they have to sustain civilisation for as long as they can.

「まず、すさまじい変化のペースを自覚して、残された時間がほとんどないことを肝に命じなければなりません。その上で、それぞれの社会や国は手に残された資源をうまく使って、文明を長もちさせる方法を探らなければなりません。」

climatemarch04.jpg衝撃の寄稿文が掲載された次の日。Friends of the Earthのディレクターのトニー・ジュニパーが博士の論に意義を唱え、インディペンデントに寄せた抗議文はこちら。
There is no reason to despair

Certainly Lovelock is correct to highlight how Gaia can exact her revenge, but it is not yet time to write the guide for global warming survivors. One thing is for sure: to give up the fight against climate change now would be utter madness. Time is short, but there is still time.

彼は、「気候変動が起こっていることは明らかだが、その事と、引き返せる地点を越えてしまったことは別。」とした上で、世界中の様々な試みを紹介し、最後は「地球温暖化の生存者のためのガイドを書き始めるのはまだ早い。一つ、明白なことがある。それは気候変動との戦いを今あきらめるのは大バカ者ということだ。時間は限られているけれど、まだ時間はある。」と、出来る事を精一杯やっていこうと呼びかけています。枝廣淳子さんのこちらのブログ記事では、一人一人が出来ることはもちろんのこと、社会や経済などレバレッジ・ポイント(働きかけると、大きな影響力があるポイント)に働きかける事が大切だと言っています。

もう既に手遅れなのか、それともまだ残された余地はあるのか?いろいろなデータや専門家の意見があり、はっきり、こうだ!と自信を持って提示できません。ただ、世界中で始まっている生活様式や国や企業レベルでの諸策の方向転換などエコロジカルなムーブメントの盛り上がりを考えると、こういう動きがもっともっと加速していけば、まだ手遅れじゃないと思っています。もちろん刹那的に生きる事も可能だけれど、どうせ駄目だったとしても、自分たちが思い描く健康な地球の未来のために精一杯生きたいと思うのです。例えば、家の電気をグリーン電力に切り替えるなど、すぐにでもできるアクションはいっぱいあります。重要なのは、ラブロック博士の警告を一人一人が自分の問題として重く受け止め、すぐにアクションしていくことです。