W杯の環境対策「グリーン・ゴール」とは?

世間はトリノで盛り上がってますが、次に行なわれる世界規模のスポーツ・イベントと言えば、6月にドイツで開催されるサッカーのワールド・カップ!たまたま日本対オーストラリア戦の観戦チケットを入手できた私は、行ってきますとも、応援してきますとも、ジーコ・ジャパン!

でもドイツで応援してきたいのは日本代表だけではありません。実は今回のW杯、「グリーン・ゴール」という包括的な環境対策で、史上初の気候ニュートラル(温室効果ガスの排出を、植林など様々な方法でチャラにすること)の大会を目指しているんですって。環境活動家の私がこれを見逃すわけにはいかない!ということで、今日は、東京ドイツ文化センターと、国際環境NGOのFoEJapanが主催した「2006年W杯記念特別企画 グリーン・ゴール 〜サッカーとエコロジー」というイベントで事前学習してきました。というのも、この「グリーン・ゴール」に関しては日本語の資料がほとんどないんですね。どんな取り組みなのか、もっと詳しく知りたい!ということで、行ってきました。

GG01.jpgイベントの前半は、元サッカープレーヤーで現在コメンテーターなどをされている風間八宏さんのお話。そして後半がFoEJapanによる「グリーン・ゴール」の全貌。基本的にはこちらの記事にあるような内容なのですが、今日のメモをまとめてみます。

「グリーン・ゴール」は、「ゴミ」「交通」「エネルギー」「水」の四つの項目で削減目標値を設定し、それを達成するための具体的なプランを実施していく包括的な環境対策です。詳しく見て行きましょう。

まず「ゴミ」はリユース・カップを用いたり、簡素な包装を心がけて、ゴミの発生を抑制します。それに加えて、お客さんにも分別やリサイクルを呼びかけます。(どうやって?というのが現地での見もの。)

次に「交通」では観客の50%が公共交通機関を使用することを目指します。なんせ320万人の観客に加えて、報道陣、ボランティアなど合わせるとかなりの人数になりますから、彼らの移動手段をなんとか考えないといけません。面白いのは、「コンビ・チケット」で、これは観戦チケットがそのまま地域公共交通機関の一日乗車券にも使える、というしかけ。ナイス・アイデア!その他にも、インターネット上で多言語交通システムの検索サービスを提供したり、公共交通機関の案内表示を強化したり、ドイツ鉄道と連携して、報道陣には無料パスを配布するという配慮も。

「エネルギー」は、20%削減を目指します。全12スタジアムの年間電力使用量を合計すると200-300万KWh(500〜700世帯の一年分に相当する電気量!)にもなるそうで、特に投光照明灯とビデオスコアボードが一番エネルギーを消費するんですって。この環境負荷をなんとか減らすための対策としては、太陽光発電の導入、省エネ照明の利用、空調や冷房の熱の最利用、エネルギー管理システムの導入、食堂での電気からガス調理器への変更が行なわれます。

次に「水」。目標値はこちらも20%削減。W杯全体で4万2000立法メートルの水が消費されますが、一番多く水を使うのが、ピッチへの散水、次にトイレやシャワーの利用なんですって。そこで、ピッチの散水には雨水を利用したり、無水便器(男性のみ。特殊な材料と器具を使い、水を流さなくても臭わないようにする)や節水コック(気がつかない程度の水圧調整で50%の節水)を導入します。

メモ:各スタジアムの取り組み
ベルリン(公共交通機関の70%利用)、ドルトムント(太陽光発電、ユーロソーラー賞受賞)、フランクフルト(雨水利用)、ゲルゼン(太陽光発電)、ハンブルク(エコプロフィット)、ハノーバー(エコ改修、無水トイレ)、ケルン(省エネ型地下暖房)、カイザー(パーク&ライド)、ライプチヒ(エコ都市化の一貫としての対策、雨水利用)、ミュンヘン(EMAS)、ニュルンベルク(EMAS、地下水利用)、シュツット(雨水利用)

しかし、これらの対策を施しても排出される二酸化炭素は、10万トンにのぼる計算。そこでドイツサッカー連盟は、津波で被害を受けた南インドのタミル・ナドゥという村に50万ユーロを投資。牛の糞を再利用して作られるバイオガスの調理設備を建設するんですって。この援助をCDM(クリーン・デベロップメント・メカニズム:先進国が途上国で温暖化対策を行い、その効果を自分の国の排出削減目標達成に用いることができるという、京都議定書の仕組みの一つ)として、二酸化炭素の排出量をオフセットするというなんともクレバーな展開です。しかも途上国への設備導入後は、事業がうまく行っているかをモニターするため、専門の事業機関と契約するという徹底ぶり。

今日のイベントで、「グリーン・ゴール」は温室効果ガス削減だけではなく、途上国の生活向上にも貢献するという、考え尽くされた企画だということが分かりました。ただ実際にどれぐらい対策が行なわれているか、どれぐらいのお客さんが協力しているかは、各スタジアムに行ってみないと分からない事が多そうです。取材が出来るといいなぁと思っているので、詳しい情報を知っている方、ウェブや雑誌などの媒体での掲載に興味がある方、是非コンタクトして下さい!そして、W杯に行く人、サッカーが好きな人、一人でも多くの人に「グリーン・ゴール」を知ってもらって、応援して欲しいです!

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GG03.jpg各スタジアムで利用されるリユース・カップ。このリユース・カップが始まったのも、ドイツのフライブルグのサッカー・スタジアムだったんですね。最近では、日本でも、Summer Sonic, Fuji Rock Festival, ap bank festivalなどの夏フェスや、都内10カ所のライブハウスにも導入され始めているので、知っている人も多いはず。


GG02.jpgリユース・カップは生分解性プラスチックで出来ていて、洗って使えば最大50回の再利用が可能。「洗うのにまた水や洗剤を使うのでは?」という意見もありますが、製造から廃棄までの全ての行程の環境負荷を調べたライフサイクルアセスメント(LCA)の調査でも、使い捨てのカップに比べて、優秀な数値が出ています。

地域のお祭りやイベントにも無償で貸し出してくれるそうなので、これはすぐにでも取り入れられそうなエコ対策。「グリーン・ゴール」でさらにイベントでの環境対策が注目され、日本の様々なイベントでの取り組みも盛んになって行くといいですね!

参考リンク:
地球・人間環境フォーラムのリユース・カップのページ
21団体からなるリユーズ・ネットワーク