オーガニックコットンの先を行け!

images.jpg「オーガニックコットン」という言葉、聞いた事、ありますか?そう、オーガニック ー 化学薬剤を一切使わずに無農薬で作られた綿のこと。ここ最近、日本のデザイナーや消費者からも注目されるようになってきました。ベビー用品やタオル・シーツ類など品数も増えて来て、オーガニックコットンは、これからブレイクすること間違いないようです。(オーガニックコットンについて詳しくはこちらをご覧下さい。)

なぜそこまでオーガニックコットンが注目され始めているのかと言えば、まず一つには、環境意識が高まる中、今までの綿作りに多大な農薬が使用されてきたことが問題視されるようになってきたから。世界80ヶ国以上で行なわれている綿栽培ですが、なんと使用されている農薬は、世界の農薬使用量の25%を占めています。また使用されている農薬は、害虫駆除剤、除草剤、殺菌剤、枯葉剤など、最も危険な薬品の数々。今までの綿栽培は、自然環境の破壊だけでなく、農家の人々や周辺地域の住民などの間で発ガン率が高まるなどの深刻な健康被害を引き起こしてきたのです。そう行った事実に関心が集まると同時に、より安心して着れるものを生活に取り入れたいとする健康派志向の消費者が増えて来たというのも、オーガニックコットンが普及してきた大きな理由ではないでしょうか。

「オーガニックコットンは地球環境にも、自分や家族の健康にも良さそうだ」というのは頭では分かるのですが、果たして見た目で分かるかと言うと… はっきり言って普通の綿と変わりません。「臭いが違う」とか「着心地が良い」と言う人もいて、確かにそうなのでしょう。しかしよっぽど敏感肌の人や、風合いが分かる生地のプロでないと、区別は難しいと言えます。ただ「体に安心だ」「地球に負担をかけていないという事実が嬉しい」という気分的な違いは大きいと言えますよね。

先日、オーガニックEXPOという有機商品を扱う見本市に取材に行ってみると、やはりオーガニックコットンを扱うお店が数点出展していました。アメリカのテキサスから原綿を輸入し、表参道にお店を構えるアヴァンティを初め、オーガニックコットン生産世界一のトルコからやってきたお店も。いよいよ日本でもオーガニックコットンの流通が本格的に始まって行く兆候が感じとれました。(オーガニックコットンのお店など、豊富なリンク集は、こちらを参考に。

FairtradeCotton.jpg日本でちょっと気になるのは、今「オーガニックコットン」の流行に誰もが飛びついている感があるものの、一方では「フェアトレードコットン」という言葉はほとんど聞かない事。フェアトレードで大切にするのは、労働者を搾取しない、児童労働をさせないなどの労働条件と、製造過程の透明さ(トレーサビリティ)。オーガニックでは、労働条件には関係なく、畑で農薬や化学肥料を使わず、加工には有害な添加物を使わない、という生産方法を重視します。フェアトレードの生産者は小規模で貧しく、伝統的な方法で作っていて農薬や化学肥料を買う資金がないので、オーガニックでなくても、普通の商品に比べたら農薬や化学肥料の残留はうんと少ないと言えるのです。もちろんオーガニックでフェアトレードのものなら、その両方を満たしているから一番良いと言えます。

日本よりも環境意識はもとより、途上国との貧富の格差を是正しようという気運が格段に高いヨーロッパでは、「オーガニックコットン」と同じぐらい「フェアトレードコットン」という言葉を良く聞きます。イギリスのブランド、ハグや、ゴシピアムのサイトを見てみても、「オーガニックとフェアトレードコットン」と両方を同じぐらい大切にしていることが良く分かります。2006年エコファッション元年@EUROPEで紹介したブランド、イードゥンでは、「コットンとデニムの服の内、90%はリマ、ペルー、モナスティル(チュニジア)で生産され、コットンの半分以上は、助成金を受けられない南アフリカと南アメリカの生産者から取り寄せている。産業を育て自立の道を歩む必要が切実にある国の人々に、きちんとした職を与え、適正な賃金を支払うというスローガンのもとに作っている」とのこと。

どちらにせよ、オーガニックコットンもフェアトレードコットンも、需要が供給に追いつかず、世界的に見ても、まだ希少なものであることは確か。「フェアトレードのコットンの供給は、現在世界中で1,000トンしかない。私たちの会社だけで、50,000トン必要だって言うのに!フェアトレードコットンは今や”金粉” 同然さ。それぐらい貴重だっていうこと。世界の供給はまだ、私たちが求めている本当にごく一部でしかないんだ。」と話すのは、今春からフェアトレードコットンの洋服を販売し始めた、イギリスの大手卸売りチェーンMarks&SpencerのCSR担当者。またオーガニックコットンは、全世界の綿栽培のわずか0.04%しかないそうです。

大切なのは、ただ単にオーガニックコットンの商品を製作したり購入するのではなく、なぜそうするのか、それがどんな影響を及ぼすのかをしっかり考えることだと思います。オーガニックコットンであれば、どこで栽培されたものでもいいというわけでなく、出来れば貧しい地域に職や現金収入を提供している機会につながっていたりすると、なお良いですよね。そしてそれが商品を製造して販売する側から、購入する側にしっかりと伝わるようにする仕掛けが大切なんだと思います。

最近スーパーに行くと、「この野菜は◯◯県の◯◯農家で栽培されました」と写真付きの札がついて野菜などの生鮮食品が売られているのを良く見かけるようになりました。オーガニックコットンを使った商品も、食品と同じように「産地」や「レシピ」が購入者に伝わると、より意義深いものになってくる。「オーガニックコットン」を扱う人たちとしては、そうしたちょっとした工夫をすることが、これからの商品の差異化につながっていくのだと思います。