2006年エコファッション元年@Europe

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ヨーロッパでは、ファッション業界にもエコロジー旋風が吹き荒れていることは、このブログでも何度かお伝えしています。例えばロンドンのブランド、ジャンキー・スタイリングは老舗の注目株で、こういうエコロジーにコンシャスなブランドが、いくつも出て来ています。

issuecover60.jpg日本でもオーガニック・コットンが使用され始めたりと、デザイナーや消費者の意識も高まり始め、これからが楽しみなエコファッションのムーブメントですが、ヨーロッパの先端的事例やムーブメントは興味深いものばかり。今年は「ヨーロッパのエコファッション元年!」と私は勝手に宣言していますが、それぐらいの勢いは感じられます。その証しとして、今年になってから、リーバイス、ドロシー・パーキンズ、トップショップやオアシスといった、ハイストリートブランドが軒並みオーガニックの洋服ラインを展開し始めました。そして今月号のイギリス発の雑誌、グリーン・フューチャーズの特集は、「グリーンなキャットォーク(”Greening the Catwalk”)」と題し、まさにエコファッショの特集号です。

というわけで、何回かの記事に分けて、雑誌グリーン・フューチャーズやウェブで見つけたエコファッションにまつわる記事をまとめてみます。(リンクはほとんどが英語です。)

kane_ss07_0109_copy1.jpgまず先月(9月)ロンドンで行なわれた恒例のロンドン・ファッション・ウィークでは、エコファッションをテーマにした特集「エステチカ」(Esteticha)が話題をさらったそうです。こちらの記事によると、「特集には、アフリカの古いレコードや、イタリアの生地会社からかき集められた端切れを再利用して作ったドレスが登場。オーガニックな流れが、いまや食品からファッションに来ているのは、当然の論理的な流れ。」トップデザイナーやモデルたちも、今まで通りの物作りやお洒落から、もっと先に進んだ展開をし始めているようです。今年のパリコレでも、エコファッションの特集が組まれるそうですよ。

irma-awards-02.jpgセレブがしかけているコンシャスなブランドで有名なのは、アイルランド人、アリー・ヒューソンが昨年立ち上げたイーデゥン(EDUN)です。日本でも伊勢丹などで購入できます。アリーと言えば、U2のボノの奥さんとして有名ですが、彼女は長年、チェルノブイリでの活動家としても活躍していて、イーデゥンのコンセプトも納得のものです。以下、オール・アバウト・ジャパンの記事からの抜粋です。

このブランドが特筆に価するのは、製品のみではなくその製造過程にまで、コンセプトや思想が反映されている点にある。

Edunの製品はすべて途上国で素材が調達され生産される。産業を育て自立の道を歩む必要が切実にある国の人々に、きちんとした職を与え、適正な賃金を支払うというスローガンのもとに作られている。
コットンとデニムの服の内、90%はリマ、ペルー、モナスティル(チュニジア)で生産され、コットンの半分以上は、助成金を受けられない南アフリカと南アメリカの生産者から取り寄せている。

つまり、ブランドという有機体を通じて、人々が共存できる新しい産業のあり方を提示するという、未来への可能性が模索されているのだ。

小難しい理論や理屈よりも、ファッションなら、ブランドなら、ロックのようにシンプルに何かを伝えられるのかもしれない。

“Edun”のコンセプトの背景には、ボノが途上国で聞いた「義援金ではなく仕事が欲しい」という声にあると言われている。

2.jpg環境に優しいオーガニックコットンを使うのはもちろんのこと、それをどこから調達してくるか、そのことによってどう世界が変わって行くのか(途上国の人たちに仕事・貿易を提供することによって、歪んだ世界を少しでも是正することに貢献する)ということについて、真剣に取り組んでいる姿勢に共感します。”Shopping is politics”(買い物は政治だ)と発言しているボノの思想が、このブランドに反映されていることは言うまでもありません。

ヨーロッパがエコファッションへと突き進んでいるのは、ファッションショーや話題をさらうセレブのブランドなど、一部の動きではありません。今年5月から一般消費者をターゲットに、大々的にオーガニックのラインを始めたのが、イギリス卸小売業の最大手、マークス&スペンサー(Marks&Spencer)。日本で言えば、東急とか伊勢丹?!のようなお店です。この店では、今年はじめから“Look behind the Label”(「レーベルの奥を見よう」)というキャンペーンを立ち上げ、どこで洋服(に限らず、食品など彼らが扱っている商品全般)が製造され販売されているかをお客さんに向けてコミュニケートし始めました。そしてその一貫として、独自のフェアトレードコットンの洋服ラインの販売を開始。「お客さんの80%は、私たちの商品がどうやって作られているかを知りたがっていたんだ」とはM&SのCSR担当者。このキャンペーンは大成功で、M&Sの株価も一気にあがったそう。(M&Sに関しては、以前のエントリー「チョイス・エディティングとは」も参照して下さい。)

また毎週33,000本のジーンズを売り上げる、ロンドンで今一番人気のある小売りチェーン、トップショップも、今年からファエアトレード専門店のピープルズツリー日本でもおなじみですよね)と組んで、フェアトレードコットンのラインを発表。ファッション業界の度肝を抜きました。トップショップはこれからもフェアトレードに向けて大々的に動いて行くようで、業界内からはかなり注目されています。

scrap_fashion.jpg一部の意識の高いデザイナーだけではなく、ファッションのメインストリームにエコファッションが進出してきたのは、素晴らしくエキサイティングなこと。こう言った動きをカバーしようと、メディアでも特集が組まれています。BBCでは、エコファッションのコンペティションが行なわれたり、(残念ながら応募は、イギリス在住の19歳までのデザイナーのみ)、それをもとにした番組制作を始めたようです。

「エコファッションは今までのものより高いのでは?」と考えて、ついついバーゲンでお買い得商品をあさってしまうこともありますよね…. しかしイギリスの分析家は「安いものは、とても非人道的なコストで作られていることを、消費者はようやく理解してきている」と見ています。こう言い切れるのは、ヨーロッパの人たちは日本人よりも環境意識が高かったり、貧困や飢餓が蔓延しているアフリカが地理的にも歴史的にも近いので、フェアトレードを含めた倫理的問題をすんなり受け止められるから、ということが大きく影響していることは確かです。しかし、世界で有数の消費大国、またファッション大国の日本でも、そろそろエコファッションに関する動きがもっと活発になってきてもいいのになぁ、とも思ってしまいます。

「自然環境や、途上国の人たちの生活を傷つけないよう意識しながらもお洒落を楽しむ、新しいファッションのウェーブ」…. この動きを表す言葉として、統一されたものがないのは日本もヨーロッパも同じです。「エコファッション」「エコフレンドリーファッション」「エシカルファッション」「フェアトレードファッション」「グリーンファッション」「コンシャスファッション」「オーガニックファッション」「フェアファッション」「ロングライフファッション」などなど。全部ごちゃまぜで、その時々で、デザイナーや着る人がどこにこだわっているかによって使い分けている、というのが現状です。それでも「この動きは、今世紀の一番のファッショントレンドになる!」と誰もが注目している、ということでは皆さん意見が一致しているようです。日本でも何か「これ!」と言う分かりやすい名称があれば、この動き、もっと広まりやすいのかもしれませんね。