安倍首相の辞任に思う

愕然とした。その日は借りて来た映画を見ようと思っていたけれど、夜遅くまでテレビに釘付けになってしまった。どんなフィクションを見るよりも面白い。今、こんなに大変なことが、この日本でリアルタイムに起きていると思うとワナワナした。歴史的瞬間に立ち合った時の気分。まずは信じられないという気持ち。それから「所信表明をし、世界中の首脳陣に日本の立場を伝えた矢先になぜ??」という疑問。「一国の首相たるものが、こんな無責任なことをして!」という怒りと憤り。全くお粗末すぎるし、同じ日本人としてとてもハズカシイ。それから安倍さん「誰にも相談できずに、たいそう孤独だったんだろうなぁ。彼は彼なりに信じていたものがあって、それを達成しようと必死だったんだろうなぁ。」という同情、共感、慰め。イロイロな感情が入り乱れた。そして最も強く感じたのは、日本の政治は、日本という国は、今、相当「ヤバイ」ことになっているな、ということだ。

「安倍さんの最後のスピーチには、国民という言葉が一度も出てこない」と、テレビのコメンテーターが指摘していた。安倍さんには国民のことなんて、任期中からさほど念頭にはなかったんだろう。イラク支援には国民の半数以上が反対しているのに、テロ特措法をどうしても通したかった。戦後のアメリカとの癒着体制からいまだ抜けきれない。経済成長を成し遂げなければならないという、旧態依然とした考え方。安倍さんだけに限った事ではないけれど、古い枠組みの中でしか物事を達成しようとしない政治家があまりにも多すぎる。日本には緑の党も根付かないし、健全な政策議論なんて聞いた事がない。政治はいつも派閥争いの話しばかりで、個人の利権の話しに終始する。

だから政治は面白くなくって、みんな離れて行ってしまう。政治の事に関心がある友達なんて、周りにはそういない。家族の食卓の話題になることもそう多くない。郵貯のお金がどこに使われているかとか、一般的な税金の使われ方とか、テロ特措法がどんなものかとか、どうやって法律が決まるかとか、ちょっと考えてみたらすぐに疑問に思うようなことすら、ほとんど誰も考えない。一部の人たちがミクシーに書き込んだりしている程度。

政治家も悪い。でもそれを野放しにしている国民、つまり私とあなた、1人1人が無関心で、遠巻きに批判していることも同じくらい悪い。私は政治にとことん疎い。基本的なルールすら、ほとんど知らない。とても恥ずかしいと個人的には思ってるけど、社会の中で恥ずかしいと思わされることはほとんどない。みんな同じく政治には無頓着だから。もっと私たちは生活を、そのリアリティーを、自分たちの手に取り戻さなければならない。政治はどこか遠くで、自分たちと関係ない人たちが行なっていることではない。自分たちの生活のルールはみんなで一緒に決めるんだ!もっと私たちは自覚的に生きなくてはならない。そうすれば、前代未聞の誰も幸せにしない、こんな事態にはならないはず。