持続可能な開発とは?

今日から始まった、”Internationa Masters in Leadership for Sustainable Development.” このコースは、“Forum for the Future”という、環境意識を高めるための教育や企業への実践的な提言で有名なロンドンのNGOが主にオーガナイズしてくれているコースなのだけれど、しょっぱなの授業は、Forum for the Futureの創設者のSara Parkin(サラ・パーキン)さんがスピーチしてくれました。

Sara Parkinさんは、1970年代から一環して環境問題に取り組んでいるアクティビストで、1990年代に、Forum For the Futureを設立、今でもこの分野ではよく知られるキーパーソン。白髪で思慮深い青い目をした、優しいゆったりとした雰囲気のおばさまです。今日のお題は、”What is Sustainable Development”(持続的可能な開発って?)という、このコースを始めるにあたっての大枠のお話だったのですが、さすが第一人者。示唆に富んだとても刺激的な内容でした。

Saraからの最初の問いかけは”What is your purpose of life?”(あなたの人生の目的はなんですか?)というものでした。私たちの生きるドライブというのは、今までは経済的に成功する、つまりお金やステイタスが一つの大きな指標だったけれども、それが本当に幸せなんだろうか?アメリカでは一人当たりの所得はここ50年増え続けているのに、幸せだと思う人の数は逆にどんどん減っている。じゃぁ本当の幸せってなんだろう?どうしたらそれを達成できるんだろう?という、哲学的な問いを、授業の最初に私たちに投げかけたわけです。

環境問題に取り組む上で、この問いはとても大切な気がします。たいがい環境問題というのは、「将来の世代にも美しい地球を残して行くために、富める人たちは地球の資源を食いつぶしたり、地球を汚したり、発展途上国の安い労働力を搾取する生き方をあらためるべきだ。」というようなコンテキストで語られますが、これは上から物を見た考え方のような気がします。それ以前に、私たちは忙しく働いて歳を重ね、ありとあらゆる物を所有したり消費したりする生き方で幸せなのか?という、とてもパーソナルな問いに立ち戻って考えることが根本的に大切だというわけです。

Saraがスピーチで使ったパワーポイントの資料の中に、こんな引用も紹介されていました。
A thing is right when it tends to preserve the integrity, stability and beauty of the biotoic community. It is wrong when it tends otherwise. (Aldo Leopold, 1948)
「生物社会の、完全性、安定、美しさを保持するようにことが運んでいることが正しい。そうでなければ、ことがうまく運んでないとういうことだ。」

“Sustainable Development”(持続的可能な開発)というのは、一般的に”meeting the needs of the present without compromising the ability of future generatons to meet their own needs.”「日本語。。。」と定義され、環境問題を考える時に世界的に使われる重要なタームなのですが、国よっても解釈や定義が分かれたり、そもそもこのタームを使いたがらない学者も多くいます。

ただ統一しているのは、”Sustainable Development”といった場合に意味することは、「このままの生活を続けていくことは人々の精神・健康的にも、また地球の生態系にもよろしくない。全ての人たちが自然環境を壊すことなく、また将来の世代や地球にも影響を与えることなく、健康で、充足感にあふれた生活をしていくための生き方を見つけて行くためにどうしたらいいか」という人類の壮大なチャレンジなのだ、ということです。

Saraは、そのチャレンジに取り組むにあたり、とても分かりやすい枠組みを提供してくれました。Natural, Human, Social, Manufactured, Financial(自然、人間、社会、製造、財政)の五つのCapital(資本)の柱です。この五つの既にある資本の柱を使い、それぞれがもっと豊かになるように、取り組んで行けばいい、ただ最低限、不可欠なのは、NaturalとHumanの二つの資本だ、というわけです。一つずつ詳しく見てみましょう。

Natural Capitalというのは、自然界が提供してくれる資源のことで、土地、川、海、大気、生態系、鉱物などを指します。この資本から、食糧、綺麗な水や空気、安定した気候などがもたらされるように取り組む、と。Human Capitalというのは、人が持っているエネルギーやモチベーション、他人と関係性を作る能力やインテリジェンスで、これが高まることにより、もっとエネルギーやクリエイティビティー、コミュニティーへの貢献、それに幸せがもたらされることが期待される、と。Social Capitalというのは、個人が集まってできる様々な社会的な団体(家族やコミュニティー、政府、ビジネスなど)で、これがより発展することによって、安心感や帰属意識、信頼が生まれる、と。Manufactured Capitalは、既に生産された道路、ビル、工場、住宅、機械などで、これを(もっと少ない資源で)運用することにより、生活する場所や、必要な商品を生み出すことできるようになると。最後にFinancial Capitalで、お金や株などを指しますが、これは本源的な価値はなく、他の四つの資本を交換したりその価値をはかったりする時に使われる、ということです。

Saraは、「情報や知識は既にいっぱいある。Tony Blairの机の上には環境問題に関するさまざまな報告書がのっかっている。それをどうやって現実的なアクションに移して行くかが今求められているし、このコースでも目指すのはそのことだ。」と言っていました。世界9カ国から集まった環境の分野で働く仲間たちと、今後より大きなアクションにつなげていけるような経験を積む実り多い一年間になりそうで、とても楽しみです!