2007 Ethical Fashion Show 速報

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先週末、パリで開催された「エシカル・ファッション・ショー」と言えば、世界で一番華やかで盛大なナチュラル・ファッションの祭典。日本からは友人の藤谷真弓さんが取材に行ってきました。数回に分けて、このブログでも彼女の現地レポートをお伝えします。パリからの速報をゼヒお楽しみ下さい!メディア媒体の方々で、さらに詳細な記事や写真を御要望の方はお気軽にご相談下さい。(藤谷真弓……ニューヨーク、パーソンズ・スクール・オブ・デザインの修士課程を終了後、帰国。ファッション、コスメティック、ハンドバック&アクセサリー、ジュエリーブランドのPRマネージャーを経て、国内外の流行やファッションに精通。現在はフリーランスとして、エシカル・ファッション全般をウォッチする活動を展開中。)

エシカルファッションショーは、道徳とモラルを遵守するファッションへの意識向上を目的に、2004年よりパリで開催され、今年、早くも第3回目を迎えた。今年も、経済的・人道的そして環境面から見てモラルを遵守するファッション、アクセサリー、シューズ、ハンドバック、ジュエリーなどのデザイナーが各国より集い、10月11日から14日の4日間に亘り、2007-08年秋冬ならびに08年春夏のコレクションを発表した。

ライラ・ハフィツィ 2008春夏「アルヴァヴェール」コレクション

12日に会場で行われたランウエイショーには、ノルウェー出身の女性デザイナー、ライラ・ハフツィをはじめとするデザイナーが個性的な作品を披露した。(ライラのホームページはこちら

ライラが発表した2008年春夏コレクション、Alpha Vert (アルファヴェール)は、今まさに私たちが直面している温暖化をはじめとする地球を取り巻く環境がテーマである。アユールヴェーダ原料で染料したエココットンを除き、アルファヴェールコレクションに使われた素材はすべてISO不使用のスイス染料使用である。また、すべての服にDNAコードがつけられており、生産段階がホームページで確認できるといった徹底ぶりである。

1997年に設立されたネパールプロダクションズDAとのパートナーシップにより、人道的環境における生産に貢献している。さらにThe Ethical Trade Initiative (IEH)のメンバーに属し、企業、貿易連盟、NGOをはじめとする様々な企業団体に影響を与えている。IEHのミッションは様々な活動を通して、企業に対し、世界的に認められている、労働者としての権利をはじめとする人権擁護の責任を認知させることである。

efs01.jpg幕開けに彼女が披露したのは、ドレープが美しいペールブルーのシルクシフォンのロングドレス。ISOフリー、スイス染料使用、ブルーは空の色を表現したもの。次にランウエイに現れたのは、ネパールで生産のパシュミナと竹をブレンドして織ったISOフリー、スイス染料を使用した背中の開いたドルマンスリーブのペールブルーのミニワンピース。グリーンのグラデーションが印象的なハンドプリントシルクのミニワンピースは汚染された海を表現。絞り染めに似た色のグラデーションは、海水の塩に浸すことで完成された。シルクシフォンとクレープ混合のドレスは、大気汚染による赤い空を表現。そこにあるメッセージは「環境の変化を表現し、その結果どんな因果関係が潜んでいるのかを訴える」ということ。
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ライラ・ハフィツィ インタビュー
ショーの翌日、ライラ本人が2008年春夏コレクション、アルファヴェールと自身のブランドについて語ってくれた。

聞き手: 2008年春夏コレクションであなたが伝えたいメッセージを教えてくれますか。
ライラ: 私たちを取り巻く地球環境の深刻な変化を色で表現しました。例えば、澄んだ空と海の色、汚染された海と空の色。これらの異常な気象変化について、私たちがどう対応するのかを喚起したいのです。異常気象を阻止するのか、それとも阻止する努力を怠れば台風やハリケーンが発生するということを訴えたいのです。

聞き手:ネパールで生産されていますが、モラルやエコロジーといった問題への取り組みについて克服できないことが多いと思われますが。
ライラ: エコロジカルな洋服を作るには、現地で素材を探し、認定許可を得ることが課題となります。また、ネパールでは、天候の変化、交通面での問題、毛派による民族紛争、ストライキといった予期せぬ出来事が起きます。よって結局、竹の代わりにシルクサテンを使うこともあります。また2008年春夏コレクションは、すべてISOフリーですが、サンプルの段階でISOフリーにすることはできませんでした。なぜならば量産でないとISOフリーの機械を使用できないからです。

聞き手: 2006年ICPPが発表した二酸化炭素排出にまつわる報告書によると、排出量が今日のレベルで持続すれば、地球の温度は今世紀末までに摂氏6度まで上昇すると予測されています。二酸化炭素の排出量を抑制する生産方法を取っていますか。
ライラ: ネパールでの生産の大部分はハンドメイドです。一方、中には他国から仕入れている特殊な素材も使っています。これらの生産方法について、すべて把握しきれていないので100%エコロジカルな生産をすることは困難です。しかし、できるだけ軽い素材を使うことによって、生産段階で二酸化炭素の排出を抑制することはできます。またアームホールを低くすることによって、素材を洗う回数を減らしました。つまり、環境にやさしい洋服を作るには、使用する素材だけでなく、デザイン、そして使用する生地の量いった要素に留意しなくてはなりません。

聞き手: ネパールの人々のために実施している教育プログラムや地域や社会に還元している活動について教えてください。
ライラ:  水牛を飼育して、彼らが生計を立て、子供たちが学校教育を受けられるよう援助しています水牛は現地の人の年収の半分に値するとても高価な動物です。しかし、金銭援助をするだけでは、かえってネパールの人々の労働意欲を阻止することになりかねません。よって、私たちが最も良いと考える方法は、現地の人々の生活の糧となる持続可能な仕事を提供することです。そのためには技術を支援することが大切です。
その他に、アーティストを目指す生徒たちを支えるプロジェクトも実施しています。このプロジェクトは現地の女性からなる組織によって運営されており、私たちが提案する環境のテーマに基づいた作品が売られています。テーマのひとつには、彼らの生活とは切っても切れない、温暖化によるヒマラヤ山脈の氷解が原因で懸念されている水不足が挙げられます。作品の売り上げの一部は組織に還元されます。こうした基金は、組織運営のみならず、優秀な生徒がヨーロッパでアートを勉強するための奨学金制度の設立にも役立っています。
他にネパールの工場の中には、収益の5% をテイラーファンドとして積み立てるシステムを導入し、子供の教育費に積み立てるところもあります。私たちの工場でも同様のテイラーファンドを実施する予定です。
話が前後しますが、ネパールでは、常に自然や政治環境の突然の変化に対応しなければなりません。4月には毛派によるストライキがあり、ガスの供給が限られたうえ、水不足で生産と納期に大きな打撃を受けました。また、水不足によって疫病が蔓延しました。勿論、停電も日常茶飯事ですが、キャンドルの灯のもとで仕事をしたり、私の父が提供してくれた小さなライトを使って仕事をすることも頻繁にあります。

聞き手: ネパールにおける生産に至るいきさつについて、教えてください。
ライラ:もともとデンマークにあるデザインスクールに応募しましたが、入学の必須条件であるファッションや縫製の経験を持っていなかったので、(父の故郷である)イランで服の仕立てについて勉強をしました。そのうちネパールに仕立て人が沢山いて、良い生地があることを知り、現地に向かいました。最初のコレクションは、使い古しのサリーや現地女性が麻(ヘンプ)で織る生地を使ったものです。当時、ネパールについて何も知らなかった私たちは、ただコレクションを作る一心のみでした。そして、3ヶ月で350枚の服が完成しました。現地の人々の貧しい暮らしを目の当たりにし、彼らの持つ技術と現地の素材を活かしたビジネスのビジョンが生まれたのです。
ネパールの生産者は、彼らが持つ特殊な技術を決して明かしません。よって、大量生産が成り立ちにくい土壌です。しかしながら、自分たちの技術がいったん利益になることを知ると、コピーが出回る原因にもなります。そういった意味では、ネパールで生産していることを公表しない方が、かえって良いのかもしれません。しかし、ネパールで生産されていることこそ、私たちが伝えるべきメッセージなのです。
「エシカルであることとエコロジーを尊重すること」を両立させることは、大きなチャレンジです。少なくとも今日、生産段階が100%エシカルであることを守るのは、非常に困難です。なぜなら、先にお伝えしたとおり、様々な国から原料を調達している故に、ひとつひとつの生産過程や環境を今のレベルで私たちが完全に網羅することは不可能だからです。しかし、エコロジーの面では、持続可能な素材を使うことによって可能なのです。