2007 Ethical Fashion Showレポート第2弾

「師走」とは良く言ったもんで、年の瀬になりなんだかバタバタしています。仕事の締め切りが重なったり、天藍が風邪でダウンしたり…でもようやっと彼女も復活して、ワンパクぶりを発揮しています。私はすこぶる元気!多分、地元でとれた野菜のおかげ。白菜、さつまいも、カリフラワー、大根、ほうれん草…安いのに本当に美味しい!

….とかなり庶民的な話題ではなく、今日は、華やかなファッション・ショーについて。今年10月にパリで開催された「エシカル・ファッション・ショー」のレポート第二弾をお届けします。第一弾はこちらをお読み下さい。友人の藤谷真弓さんが取材に行ってきました。クリエイティブでコンシャスなデザイナーと、このイベントの概要が分かる、かなり読み応えがある記事です。気合いをいれて、どうぞ!

10月11日から14日、100人のデザイナーがパリに集結したエシカルファッションショー2007。期間中、プレス、バイヤーそして一般を含め、約5,000人が来場した。展示会と2回のランウエイショーの会場、ル・タピ・ルージュには世界各国からそれぞれのミッションとフィロソフィーを掲げたブランドが、思い思い個性豊かなコレクションを披露した。ここでは、6人のデザイナーに焦点を当てて紹介する。

Nahui Ollin (ナウイ・オリン) www.nahuiollin.com/デザイナー Olga Abadi(オルガ・アバディ)/生産地 アメリカ、メキシコ/リサイクル、社会プロジェクト、伝統技術

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(セールス部門シニア・ヴァイス・プレジデント、ダニー・ビトランとナウイ・オリンのハンドバック、アクセサリー小物)

「エシカルファッションとは、奇想天外なコンセプトではなく、誰にでも楽しめるものであり、また、リーズナブルな価格で、かつファッショナブルでエッジィな商品が手に入れられるということを伝えたい」とナウイ・オリンのセールス部門シニア・ヴァイス・プレジデント、ダニー・ビトランは語る。

オトミの木の枝からできる素材を手で加工して作られ、古代マヤ文明の儀式で使われた神聖な「アマテ」と呼ばれる紙のほか、認定が下りなかったレザー、そして使用後のキャンディー包装紙を組み合わせたハンドバックやアクセサリー小物はカラフルでユニーク。適用基準に満たないレザーを低価格で直接、工場より購入することにより、低価格で商品を生産することが実現。さらに、丹念な作業で数日間に亘って作られるアマテは、メキシコの原住民より直接購入している。コンピューターのワイヤーをハンドバックのハンドルに使用するなど、スクラップやリサイクル素材をユニークな方法でこれからも使用してゆきたいとダニーは抱負を語ってくれた。またデイリープランナーのリフィルには再生紙を用いている。

Bilum(ビルム) www.blium.fr/生産地 フランス/リサイクル、社会プロジェクト

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ビリムは、屋外広告に使われた素材でハンドバックや小物をつくり、ハンドル部分は認定許可の下りなかったシートベルトや再加工したシートベルトからできている。どれもフランスで生活保護を受けている人などによって作られている。


Royah(ロイヤ)www.royah.org/生産地 アフガニスタン/社会プロジェクト、伝統技術

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カブールで生産されているロイヤの服は、アフガニスタン文化を最大限に活かしている。刺繍はすべてカブールの女性の手によるもので、ブランドのコンセプトとデザインは彼女たちとのコラボレーションによる。古代ペルシャのデザインより影響を受けたデザインは、今日のファッションコンセプトと美しく融合し、伝統文化とアフガニスタンの女性の地位確立に寄与している。

Satoshi Date(さとし だて)www.satoshidate.com/生産地 イギリス/リサイクル、社会プロジェクト

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道徳とアートの融合を洋服で表現し、エコロジカルファッションによって住む環境が改善されることを信念に抱くデザイナー。リサイクル素材使用をモットーに、フェルトのジャケット(写真右) やデザイナーの祖母の洋服をリサイクルしたツーピース(写真左)を発表。すべてロンドンで手によって縫製されているため、ほとんどが一品物。

Van Markoviec Green Fashion (グリーンファッション) www.markoviec.com/デザイナー Van Markoviec (ヴァン・マルコヴィエク)/生産地 オランダ/オーガニック素材、リサイクル
HYPERLINK “http://www.markoviec.com” www.markoviec.com

Silk dress dyed with plant pigment 320 Euro.JPGJean with  hemp and recycled PET.JPG
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リサイクル素材とオーガニックコットンを使用するオランダのブランド、Green Fashion。2008春夏コレクションではさらにバンブー、植物染料で染色したシルクドレス(上段左写真320ユーロ)、ヘンプ、PET(リサイクルプラスチック)を使用(上段右写真、175ユーロ)。 展示会のスタッフのコーディネートもとてもキュート。

Les Racines du Ciel www.les-racines-du-ciel.com/デザイナー Nathalie Goyette, Christian Tournafol (ナタリー・ゴイエット、クリスチャン・トルナフォル)/生産地 フランス/フェアトレード、オーガニック素材、伝統技術

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黒のハルタートップの首部分には、テメテ(Temete)というナイジェリアの女性団体から伝わるノウハウを取り入れたアラゴムを使用。アラゴムは、ヤギ皮を編んで作られた(左写真)。一方、服には、中国の漆と山芋で加工されたシルクや和紙で加工した素材を使用。胸元が開いたフリルのリトルブラックドレス(右写真)や肌ざわりのいい質の高いコットンのカットソーなど、タイムレスなアイテムがいっぱい。日本では名古屋のエミスフェールで取り扱いあり。

まとめ
10区、rue du Faubourg St. Martinにある会場のル・タピ・ルージュは、レパブリックからも近く、右岸の交通の便の良い場所。アフリカ系フランス人が多く住む会場近くには、ヘアサロンがひしめきあい、サロン内はネイルアートをしてもらう黒人の女性とその仲間や彼氏で大賑わい。道には、ブロンクスのラッパーを思わせる白のトラックスーツに黒のサングラスといったいでたちの黒人男性が溢れていた。

ランウエイの最後にソワレを発表するパリコレやニューヨークコレクションに対し、エシカルファッションショーでは、ロングドレスやソワレ向きの洋服を着たモデルが、冒頭に登場することが多かった。また、全体的にモデルのお肌のコンディションの悪さが目立ったり、ヒップのセルライトがフロントロウから伺うことができ、個人的にモデルの質に疑問を抱いたことは否めない。

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10月12日には、Andre Lima(写真左), Gloria Cohelo, Reinaldo Lourencoをはじめ、サンパウロ・ファッションウィークでSS08コレクションを発表したデザイナーもランウエイショーを披露した。ショーのフィナーレを飾ったのはFause Hatenによる白無垢を彷彿とさせる、美しいキルティングのフルレングスガウンとコルセット。そのガウンを後ろから支えて登場したのはインナーウエアを着たモデルとオウム(写真右)。

EFS2007 Press Kit Bag.JPGLeila Hafzi Alpha Vert Coll. Look 19.JPG
来場者に配られたプレスキットなどが入ったバックは、「ファッションデイリーニュース」のページを切って貼り付けたリユースバック(写真左)。ギフトは南米産フェアトレードのコーヒーとFrench Rabbitというフランス産オーガニックワイン。Leila HafziのSS08ランウエイショー(写真右)のギフトは和紙のような紙に入ったネパール産のインセンスと、プレスキットやギフトを通じてもエシカルファッションショーが掲げるミッションが伝わってくる。

出展者の必須条件としてILO(国際労働機関)で設けられた労働条件の遵守がある。加えて次に挙げる3つの条件のうち最低ひとつはクリアしていなければならない。1.地域産業や伝統文化の持続可能な発展への寄与 2.できるだけ環境破壊に加担しない製造方法の適用 3.伝統技術・工芸の継承。またこれらの出展条件が列挙されたCharter of Good Conduct(善良な経営活動に携わっていることを表す誓約書)には記載されていないが、知的所有権の遵守も尊重されている。詳しくはオフィシャルサイトからダウンロードでできるプレスキットやサイト上のCharter of Good Conductをご覧いただきたい。

とはいえ、エシカルファッションショーが必ずしも純粋な意図を持ってエシカルであるとは言い切れない。伝統技術や社会支援のプロジェクトは、ややもすれば、国から援助を得やすいので始めたビジネスと捕らえられがちだ。また、アメリカのエコ活動家、Summer Rayne Oakesが後援する2007年Le Prix Ethical Fashion Show (エシカルファッション賞)受賞者のひとり、Moyi Ekoloのように「フェアトレードで取引された装飾と100%ナチュラルでエコフレンドリーな野菜染料で染めたレザー」を使用していると言いつつも、レザーを使用すること自体が倫理や道徳に反しているケースも見られた。さらに、アフリカ産のゴムを使用しているブランドも出展していたが、アフリカ産ゴムといえば、紛争地域で捕虜となった男性が過酷な労働条件のもと、生産に係わっていることは周知の事実だ。また、フェアトレードを実践していても、生産に係わっている労働者の労働条件が必ずしも人道的かどうかは定かではない。

ここで着目したいのは、ILOが定める労働基準に週48時間以上の労働を課さないことが制定されている。俗にスウェットショップと言われ、発展途上国の労働者が置かれる過酷な労働条件や、常識を度外視した長時間労働を強いられたケースはメディアでも報道され、雇用側の大企業が裁判で敗訴した例も少なくない。一方、ILOの加盟国であるアメリカや日本などの先進国でも、週48時間以上の就労は決して珍しくない。つまり、ILOの基準から見ると、先進国においても非人道的な労働時間を費やしているということに置き換えられない。

エシカルファッションは、ややもすれば、新しいトレンドとして捕らえられ、そこには、グリーン産業やCSRのように、エシカルという名のもとにブランドのセールスプロモーションや企業PRのためのツールで終わってしまう可能性が潜んでいる。アメリカの言語学者・政治批評家、ノーム・チョムスキーが語るように、新自由主義提唱者は、資本主義と民主主義という相容れない要素があたかも両立し、機能しているかのように謳っている。しかし、現実には、少数の特権階級だけが自由と権力を享受している。真の意味で利益と倫理を両立させるには、まだまだたくさんの課題があると言えるだろう。