ヌーディズム先進国フランスで過ごす全裸の夏

6月に入ってもまだ寒くて、今年の夏はどうなっちゃうの〜と思っていたけれど、中旬からようやっと夏日になり、とても楽しみにしていた爽やかで最高潮にいい季節のヨーロッパを堪能しています。暗くなる午後10時ぐらいまで、ビーチに繰り出したり、そぞろ歩きしたり、ゆっくりディナーを楽しんだり、地中海沿いのコート・ダ・ズールは、「これぞ贅沢でピースな休日」という感じです。     

滞在中のニース近くの街、ラファンドゥーの近くにはいくつもの異なるビーチがあり、それぞれに地形や雰囲気などが違うので、ビーチ・ホッピングにはもってこい。その中でもヌーディスト・ビーチがいくつもあるから、驚き!

 

みんなフツーにすっぽんぽんで泳いだり日焼けしたりおしゃべりしたりしています。フランスではヌーディストのことを「ナチュリスト」と呼び、特段さわぎたてることもなく、特定の場所においては当たり前のように全裸になって解放されて過ごしています。なんと自由でピースな光景!しかも名前が「ナチュリスト」っていいですよね、ナチュラリスト(自然主義者)にとても近い。

それもそのはず、このナチュリスト・ムーヴメントは、19世紀末、工業化に伴う社会の変化に対しての自然回帰運動から始まり、フランスにも、健康・平和志向、持続可能な暮らし、ハンドクラフト運動などの意味合いも含まれて定着したそう。1950年にはフランスナチュリズム連盟も形成され、ウェブサイトを見ると、フランス全土にある何百というナチュリストが行けるビーチ、温泉施設、クラブ、キャンプ場などがリストアップされています。そう、フランスはドイツとならんだ「ヌーディズム先進国」なんですね!

そこでヌーディスト島としてフランスでも有名な、ルヴァン島に行ってきました。南フランスのマルセイユとニースの間にあるイエール諸島の一つがルヴァン(Levant)島。本土から船で1時間弱で、緑に囲まれ人口2000人がひっそり暮らす島に到着です。

  

小さな港で渡された島の地図を見ると、、、、1. 全裸になってはいけないところ(街の中心地、港)2. 全裸になってもいいところ(ビーチなど)3. 全裸にならなけらばならないところ(特定のビーチなど)とあるではないですか!(地図の緑の線が全裸にならなければならいと決められた所)

素朴で可愛いゲストハウスに一泊して島を探検してみると、、、、ボンジュール!と陽気な挨拶で通り過ぎるおじさんも全裸。郵便局員と話すおばさんも全裸。レストランのウェイターも全裸!いやはやここまで生活に定着していると、ほんとすごいものがありますね。「全裸にならなければならない」エリアでは、男女とももフツーに全裸で生活しています、、、、。いやらしい感じは全然しないし、みなさんありのままの自分でいることを楽しんでるようです。こっちも最初はどぎまきしてたけれど、半日もいると、堂々と自分も全裸で生活してるから不思議!

 

聞くと、1931年。パリ在住のお医者さんの兄弟2人がやってきて、この島に魅せられ、土地の一部を購入したんだそうです。彼らは最初から「ここをナチュリストの島にする」と決め「食事はベジタリアンでなるべく手作り。一日1時間は運動をする。そして自然とともに慎ましやかに生きる」という法律のようなものまで決めて場所を解放したんだそうです。以来、ナチュリスト兼ネイチャーラバーがやってきて住み始め、今ではルヴァン島は、ナチュリストを経験したり理解したりするには格好のポイントになっています。

一人でビーチにやってきてさっさと服を脱ぎ、慣れた手つきでクラゲをつかみだして魚と一緒にゆうゆうと泳ぐ年配のかっちょいいおばさんに話しを聞いてみると、「パリに住んでるけど、もう40年以上ここに休日を楽しみに来てるわ。今回は1ヶ月の滞在。裸でいられるのは何よりの解放だし、ここは心の底からクリアにシンプルになれる気がするの」うーん、納得。病気の療養にやってくる人たちも多いとか。このおばさんも針の専門医でした。

全裸?ヌーディスト?と聞くと、なにそれー!というヨコシマな気持ちと同時に、「自然と一体化したいという、人間本来の本能で、生命活動を活性化させる当然かつ大切なこと」と納得する気持ちもわきおこる人が多いのではないでしょうか。私も二日間滞在してみて(ずっと全裸だったわけではないですが、、、)、全く無理なく妙に居心地がよく「こっちのほうが服を着てるよりも自然かも?」とさえ思ってしまいました。しかもナチュリストのカルチャーが健全に伝わって行くために島の条例まで設けて真剣にプロモートしているのには、感心しました。ここまでしっかりカルチャーを守っているのは長い確固とした歴史と成熟した大人の文化があるからなんですね。

 

フランスは性に関しても寛大でいろいろなチョイスがあるところが羨ましいし(日本よりも解放されていて、じめじめしていない。すごくオープン!)、いずれにせよこのルヴァン島。エメラルドブルーのプライベートビーチがいくつも連なり、石造りの道や家々の佇まいがかわいらしく、電気が通っているものの街灯はなしというルールなので、夜は暗くてひっそりとても静か。完璧なハイド・アウェー。だから全裸にならなくてもとびきりのんびりヨーロッパのバカンスをしたい人にもお薦めな所です。私は、今度来るときは1ヶ月ぐらいボケーっとして、もっとナチュリストの醍醐味を味わいたい!と思った次第、、、いやぁーこの世界、はまりそう〜!

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