コスタリカ、亜熱帯雨林のOne World 農場

コスタリカのカリブ海沿い、プエルト・ビエホの街の中心街から車で10分ぐらいの亜熱帯雨林のジャングルの中にあるのが、One World Finca.

日本にも暮らしていたドイツ人、Kenさんの壮大な夢がぎっしりとつまった36ヘクタールという広大な農場だ。コスタリカの先住民族ブリブリ族の奥さんユリーと、娘さん2人と暮らし、完全にローカルに溶け込んでいるKenさん。「9歳の時から、農場をやりたかった」という夢を叶えるべく、10年前にこの土地を購入し、先住民族の知恵とパーマカルチャーの手法を盛り込んだ完全自給自足、オフグリッドの農場を目指して、毎日、コツコツと際限ない挑戦を続けている。

「僕にとって一番、大切なのは森。ここは完全な熱帯雨林が残されている、地球上で数少ない土地なんだ。36ヘクタールのうち、僕が手を入れてるのは8ヘクタールで、あとは手つかずの森に残している。ついこの間まではジャガーもいたし、鹿やあらゆる動物がいるよ。」と流暢な日本語で教えてくれる。

残念ながら、私は足を怪我してしまっていたため、私たちは森の奥深くまでは行かなかったのだけど、それでも赤や黄色の鳥たちが飛び回り、多種多様の植物が絡みあう森の芸術は、まさしくアバターの世界。

Kenさんが、農場のツアーに連れて行ってくれた。入り口にあるのは、お客さんのウェルカム・センターのような場所。suitaという葉っぱを使った伝統的な手法で屋根が作られている。去年まで住んでいたタイのパーマカルチャー・ファームと同じ手法。Kenさんは地元のシャーマンと呼ばれる人たちを訪ねる熱帯雨林を散策するリトリートなどもたまに手がけていて、ビジターも少しずつ増えて来たところ。私たちが滞在していた時も、カナダから大学生が数週間、泊まり込みでステイしていた。

水は、雨水を利用。全屋根に雨樋が取り付けられていて、効果的に2万リットルのタンクに貯められる。電気が半年前に通ったので、今は使っているけれど、ソーラーでも充分足りるそう。今年、ボランティアの宿泊施設も完成!20〜30人の受け入れが出来る。

これはアースバック(泥入りの袋を積み上げてつくる、耐震に優れた建築手法)で作られたバイオガス・リアクターを入れる場所。Kenさんが注目しているのは、バイオチャー(バイオ炭)と呼ばれる、有機物を焼いて作った炭。農業廃棄物を再利用してエネルギーとする技術が、近年、注目されている。「僕が目指しているのは、カーボン・ニュートラルじゃなくて、カーボン・ネガティブ。これでできるガスで車を走らせるまで、あと2年ぐらいかかるけど、不可能じゃない。」

こちらはベジ・ガーデン予定地。ハンギング・タイプの栽培方法など、いろいろ試している。「ここは元々、カチカチの土地だったんだ。しかも傾斜がある地形だから、雨が降ると栄養素の高い表面の土地が流されていってしまう。そこで木を植えてテラスを作ってそれを防いでみたり、マルチングとか色んなことを試してみて、やっと土がふかふか良い土になってきたんだ。時間はかかったけど、ここから生産性もどんどん高まるだろうし、自然の力だけでここまで辿り着いたのだから、ほんとに嬉しいよ。とにかく熱帯雨林のメソッドを観察して、模倣して、信じて、自然の力に任せて、時間をかけて見守る。それが僕のやり方だよ。今は人手が足りなくて、手が回らないけど、このファームだけで20人ぐらいの食料はまかなえるよ」

敷地内には、ありとあらゆる果物の木がある。マンゴー、オレンジ、リンゴ、サワーソープ、ブレッド、、、、どれも10年前からKenさんがコツコツ植えて来たものばかり。そのほかカカオもあるから、チョコレートも作れちゃう!「野菜の栽培には向いてないんだけど、果物の木には格好の土壌。ぐんぐん伸びるよ。」

ツアーの間、Kenの娘さんたち、ナイテミとスーライオン、それにうちの娘、テラと合わせて3人娘たちは、マンゴスチンとりに奮闘して、ご満悦。あぁ、なんて素敵で申し分のない時間!

家畜は、鶏とアヒルがいて、今、ヤギも検討中。でも一番、力を入れているのが豚。「日本で稼いだ時のお金も、底をついてきたからね(笑)。ほんと3年ぐらいはジャングルの中でお金もなく、すごい生活をしていたよ!だから次の課題は、ファイナンシャル面での持続性を目指すこと。そういう意味で、豚はうまく行ってるんだ。食べさせているのは、ここで育った植物やバナナばかり。子豚は一匹60ドル、大きくなると一匹350ドルで売れる。完全オーガニックで、愛情をかけて育てているよ」

しかも小さなバイオマス発電所もこしらえて、豚の糞は、ガスとしてリサイクル。上澄みの水は、最高級の液体堆肥としてガーデンへ。

こちらは豚が大好物の、Nacedeloという葉っぱやバナナを乾燥させているところ。敷地内には人工的に作った池も四つあって、食用の魚を飼ったり、水溜にしたり、アヒルのえさとなるazolaという植物を育てたり。家畜のえさも全て敷地内から得る工夫を施しているのが、Kenさんの農場のユニークなところ。

「とにかく、意思だね。やり遂げるという、意思。それから分からなくても、信じてやってみるっていうこと。僕なんてシティー・ボーイだから、トライ&エラーの連続だよ。多分、成功してるのは10%ぐらいじゃないかな。それでもいいんだ、そこから学んで、進んでいくから。あとは何ごとも長期的な視点を持って臨む、ということ。」Kenさん、流暢な日本語でしゃべるし、気さくで境目のない人なんだけど、強固な意思と信念と根性を持ち合わせたお兄さんでもあり、超リスペクト。

「あと2年すれば電気やガスも完全自給できるんじゃないかな。まわりにも志の高いファーマーが多いから、この一体は、将来的にすごく面白い場所になるはずだよ」ほんとこの辺は、Kenさんのファーム以外にも、Finca Tierraなどのパーマカルチャー・ファームがたくさんあって、未来のコミュニティーをそれぞれがこつこつと作っている感じのところ。かなりの開拓者たちの集まっているパラダイス!しかもカリブ海の超レイドバック・サーファー・タウン、プエルト・ビエホからは、歩いても30分もかからない好立地。

「ここまで10年ぐらいかかったけど、基礎ができたというか、ほぼ形が見えて来たんだ。最大20人ぐらい泊まれる宿泊施設も完成したばかり。今年はウェブサイトも立ち上げて(ほぼできてる!)、ウーファーも増やす。そしていよいよ先住民族の薬学、熱帯雨林探索、パーマカルチャー、再生可能エネルギーなどのコースも本格的に開始する予定。僕は日本語が話せるからね。日本からちょっと遠いけど来る価値、大アリ。ぜひ日本人にもたくさん来て欲しいな」

日本のみなさん、コスタリカに来ることがあったら、ぜひOne World農場、よってみて下さい。やる気のある長期ボランティアも受け付けていますよ!サーフィン、スペイン語、持続可能な生活の学び、先住民族の暮らし体験、ジャングル散策、、、、こんな組み合わせにピピッと来る人がいたら、ぜひ!こちらからKenさんに直接、コンタクトできます。