「鎌倉ごみ会議」のご報告


ここ1ヶ月ほど、鎌倉の仲間たちと集まって準備してきた、「鎌倉ごみ会議 毎日のごみとくらしを、対話で考えよう 〜生ごみ資源化の新施設って?〜」が10月29日(金)、鎌倉市役所の全員協議会室にて開かれました。総勢80人ほどが集まり、学び合い、これからの未来について語り合いました。参加者は老若男女。議員さん(28人中、7人ぐらい?)や市役所の方(5人ぐらい)も来て下さいました。なんせ議員さんがいつも使ってる部屋に市民もはいって、市役所の職員さんや市議会議員さんと同じ場所で、フラットな関係で、語り合えたのが良かった。場所のパワーって、偉大です。

鎌倉には、今、「山崎バイオマスエネルギー回収施設」という、ようは生ごみからメタンガスを取り出して下水処理場に利用しようという、ごみ処理施設の建設計画があります。老朽化していて数年で稼働が終わる(今泉という場所にある)焼却場のかわりに、(山崎という場所に)新たに施設を建てようというもの。確かに「バイオマスエネルギー」というと、焼却場よりはエコ度が高そう。しかし65億円もかかる?!エコ度はどれぐらい?そこで、新施設ってどんな施設なのか、もっと知りたい!これから、私たちはごみとどうやって向き合い生活していったらいいんだろう?というような問いを持って集まりました。

個人的には、直前までCOP10にいっていたりして、準備不足だったのにも関わらず、多様な意見を出し合え、すごく有意義な時間を過ごすことができました。新施設に関しては、まだ勉強不足で、YESもNOもはっきりと評価できないでいます。新施設についてもっと知りたい!時間が少なすぎた!という人が多かったので、「知る会」を継続的に開いて行きたい、もっとこのことを多くの市民と一緒に考えて行きたい、と思っています。定期的に「知る会」を開くとか。

ただ最後にみんなが共有した心意気としては、ごみを出さないことにこしたことはない。だから、新施設にYES/NOは置いといて、まずもっとごみの「削減」をやってみようではないか!というものだったと思います。「Reduce, Reuse, Recycle =3R」とよくと言うけれど、リサイクルの前に、まずはリデュースをやってみようよ。個人でも地域でも事業者でも、まだ出来る事はたくさんある。そうは言っても、どうせ出てしまうからさ、と諦めないで、しかも一極集中型のごみ処理に頼ってしまうじゃなくて、地域分散型のごみ処理について、市民ももっと責任をもって取り組んでみようよ。その方がなんだかワクワクするよね。そんな意識がなんとなーく、会議をあとにする人たちの心にあったと思います(と、全く個人的な感想ですが)。

これって、エネルギーの話とすごく通じるものがあるなぁと思います。「節電っていったって、やっぱり電気は使うし必要だからさ。原子力もしょうがないよね。建てる場所に住んでる人、ごめんなさい、我慢してね」っていう論理。でも本当にそれだけ使うんだろうか?必要だろうか?私たちの生活をすこーしだけシフトして行けば、解決できることって多いんじゃないだろうか?原子力以外の、もっとブラックボックスじゃない方法ってないんだろうか?そのほうが地域がつながり合ったりして、電気を解決する以外にももっといいことないだろうか?

地域のつながりとか信頼とか責任力とか自覚などのソフトなエネルギー。「エコで効率がよい施設」よりも、今、まさにソフトなエネルギーが持続可能な社会を作って行くために、求められていると思いました。今、私が住んでいる鎌倉では、そんな愛あふれるエネルギーが一つの大きなうねりになりつつある。うねりは、ミラクルを起こせるかも?!そんなことを感じた、鎌倉ごみ会議でした。そしてそのうねりが、市議会や市役所でも少しずつ波紋を広げている。そして11月には、施設の計画見直しを宣言している松尾市長から、代替案も出されます。楽しみです。

鎌倉ごみ会議。当日の様子、こちらでお聞き頂けます。前半(4人のスピーカーの方の説明)と、市民の方たちの多様な声)
そして簡単ですが、以下、ログをまとめてみました。

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18:40〜 キックオフ
ファシリテートを専門にしている、吉澤卓さんがキックオフ。みんなを知るエクササイズから始まる。まずどんな人がいるか。鎌倉市?神奈川県?議員さんなど質問で手をあげていただく。

「今日はどんな期待を持って、ここに来ましたか。」一度席を立って二人組みになり、答え合う。すると話がとまらない、とまらない!「話しだすと、とまらない人が多いことが分かりました。これからワクワクした時間がもてそうですね」と卓さん。そして、後だしジャンケン遊び。「後だしジャンケンのように、勝つとか負けるとかいう規制概念ではなく、自由な気持ちで参加して、新しい視点を持ち帰る場にしたいですね」と卓さん。その通り。

18:55〜 「山崎生ごみ処理施設」について、4人の方にご説明いただく時間

▼第一スピーカー:資源循環課の古屋さん。

1972年ローマクラブが出した「成長の限界」。このまま人口増加、環境破壊が進むと、100年以内に成長の限界を迎えるでしょう、というショッキングな内容。地球規模での環境問題がクローズアップされている。温暖化、生態系、食糧生産への影響など…. グローバルな話からチューニングして下さいました。

平成15年とくらべて、家庭系ごみは若干減っている。事業系は少し増えている。鎌倉のリサイクル率は、日本第一位。47.76%(二位倉敷が、僅差)。可燃ごみの中に、生ごみがあり、まだ出来ることはある。循環型社会の形成。発生抑制、再使用、再生利用、熱回収、適正処分の順番で優先順位。これからの廃棄物行政におけるキーワードは、健全な生活環境の保持、持続可能な都市経営、環境負荷への配慮、高齢社会への対応、公平性の確保。

トラブル解決への流れ。自分のことは自分でやりましょう。自分で出来ない事は、回りの助けを借りましょう。それでも無理な場合は、公共に頼みましょう。

環境問題の解決に向けて大切なこと。次世代の人々への思いやり、他の地域の人々への思いやり、他の生物への思いやり。

▼第二スピーカー:環境施設課の竹之内さん。

山崎浄化センター、バイオマスエネルギー回収施設について。

施設が必要になった背景:今泉と名越の清掃工場が出来たり、笛田リサクルセンターが出来たりしてきた。平成11年ごみ半減計画を策定したが、なかなか半分にならない。平成18年には、「ゼロウェイストかまくら」というごみ処理の基本理念が出た。発生抑制につとめ、焼却量や埋め立てによる最終処分量を可能な限りゼロに近づけよう。

鎌倉市で燃やしている家庭系の組成:生ゴミが40%。生ゴミを資源化する手法:飼料化、堆肥化、炭化、バイオマス化。鎌倉の場合は、鎌倉市生活環境整備審議会がバイオマス化がいいと提言。

バイオガス化=メタンガス発酵。得られたガス発電は、山崎浄化センターで使われる。熱は、さらに発酵にまわされる。バイオガスは、カーボンニュートラル。生ごみは各家庭で収集。貝殻などはメタン発酵に適さない。システムがまだ決まっていないが。

今泉は停止することができる。名越も処理量を減らすことができる。下水処理場は24時間空気を送り込んでいるので、電気をたくさん使っているので、その半分がまかなえる。

経済性比較をしても、安い。65億円だが、国からの補助見込みが45%。

課題は、生ごみの分別。高齢化が進む中で、これをどうするか。山崎の環境への配慮も必要。460カ所、メタンガス発酵をしているところがある。三浦市にこの秋オープンし施設がある。11月から見学も受け入れる。

▼第三スピーカー:市議会議員の高野洋一さん
エネルギー政策の大きな視点で、みなさんと考えてみたいと思う。10月15日に「ミツバチの羽音と地球の回転」の上映会があり、エネルギー政策のことで感じる事が多々あった。日々、電力、ガス、エネルギーを消費しているが、ほとんどが化石燃料。今後は、持続可能なエネルギーへのシフトが大事。映画ではスウェーデン・オーバートーネオ市の事例を紹介していた。風力発電と牛糞のバイオマス施設。日本の場合、国を挙げての取り組みは、これからという現状。ごみ問題は、エネルギー問題と直結している。

一人一人が出来ることはやるべき。キエーロなど、全ての人が出来るとは思わないが、やったほうがいい。地域でも生ごみの処理機をやるなど、なかなか大変だろうけれども、やった方が良い。事業者の努力もやっていくべき。それを進める上で、3〜4年でどうにかしなくちゃいけない話。時間がない。急に市民の努力で1万トンは減らない。みなさんのように関心の高い人ばかりではない。ライフスタイルは様々。持続可能なエネルギー政策のためにも!

▼第四スピーカー:市議会議員の長嶋竜弘さん

「コトでエコなごみ処理提案」山崎だけではなく、ごみ処理の種類はいろんな方法がある。「バイオで持続可能な社会」という話があった。環境によいという印象をもったと思う。でも私の提案は、山崎バイオ施設よりも、もっと環境に優しい。どうしてもゴミ処理は、一カ所に作ってドカンとやる、そういう行政が多い。でも細かいことを積み重ねていろいろ挑戦するという方法論もある。壊れた時や故障した時のリスクも回避できる。いろんなライフスタイルでごみが出せるというのもメリット。山崎の場合は、週2回の生ごみ収集になるだろうから、負担が増える。

機械による処理を4つあげた。事業用、地域別、地区別、家庭別(いろんなタイプのものが出ている。バクテリア、乾燥系など)。消滅型大型生ごみ処理機を設置。例えば1.2tタイプのものは、3000万〜4000万円(月60万円リースできる) CO2の排出量(90%削減!)、値段的にも山崎と比較にならないほど良い。

5Rの促進とその他の方法による削減。事業系生ゴミのエコフィード化(飼料として再資源化)など。成果があるものばかり。環境に優しい持続可能な社会を作るためには、発生抑制が大切!

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というわけで、4人の方の発表が終了。みなさん山崎の施設をどう評価していいものか、少し混乱気味(私もふくめて)。それでいいんだと思います。それが知る事の第一歩。はい、質問ある方は?まず手をあげて頂く。8人の方。1分差し上げます。前に出て頂いて、質問どうぞ。

Q. バイオ施設はごみを出し続けなくてはならないんじゃないか?長嶋さんの提案のようにレンタルだったら、減らして行けるし、税金が少なくて済む。
A. 国(環境省と国土交通省)から補助がでるので、市の負担は30億円。プロポーザルコンペ(価格をふくめた入札)をするので、もう少し安くなる。生ごみが減った場合は、維持管理費や追加設備が減って行く場合がある。(竹之内さん)

Q. 65億円もかかるのか?日本下水道事業団に丸投げする?
A. 処理のパーツごとに分けて、いろいろヒアリングした結果をつみあげたのが65億円。私もいろんなメーカーと話したが、高いと思う。(竹之内さん)

Q. JRとの安全協定は結ばれているのか?
A. まだ計画のごく基礎が出来たところです。(竹之内さん)

Q. バイオマスなんてとんでもない。作るなら平等に!みんなで平等に頑張ろうじゃないですか!もうなんで僕たちが負担しなくちゃいけないのか?(山崎の住民、西山さん)
A. 理屈としては、その通り。全市民が本当に意識が高くて、やる意思があり、それができる条件があれば、良い。長嶋議員の提案は非常に良いが、出来なかった時はどうするのか。名越で燃やす量をあげるわけにいかない。(高野さん)

Q. 事業系ゴミが減っていないのはなぜか?
A. 周知徹底が足りなかった。(古屋さん)

Q. 市の施策として、減量化にたいしてどんなことを今までやったか?リサイクルは減量化したのではない。
A. 植木さんてい材の資源化。容器包装プラスチックの資源化。おっしゃるようにリサイクルに頼っている。(古屋さん)

Q. 事業系のゴミを安い値段で受け入れてしまっているのでは?
A. 一キロあたり13円。藤沢は20円。確かに安い。逗子は6円。横浜も13円。手数料についても考えて行かないと。(古屋さん)

Q. バイオガス施設は、硫化水素が発生する。下水管のメンテをしていた作業員が、硫化水素で死亡したというニュースも聞いた。そういう施設を都市部に作るのは危険では?
A. 人体に非常に有毒。バイオ施設の場合は、密閉空間なので、人体には触れない。(古屋さん)

Q. 今泉台で町内会でやってみたけれど、大変だった。長嶋さんのいう代替案は、どれぐらいの期間を予定しているのか。今泉はもう37年たっている。
A. 機械に関しては、予算計上してやれば、すぐ減っていく。削減に関しては、みなさんの努力が必要だが、段階をふんで計画をたてていけば、出来る。4〜5年かければ出来るのでは。明日からでもどんどんやっていくことをやっていくしかない。

Q. 事業系の生ゴミの%は?
A. サンプリングすると、その度に数値が代わるが、だいたい60%。日によっては20数%。(古屋さん)

Q. 鎌倉と同じようなタイプがあれば、教えて欲しい。
A. 石川県珠州市、北海道北広島市など。(竹之内さん)

Q. バイオ施設の一番大きな問題点は?
A. 環境負荷は9%減ということになっているが、大変疑問になっている。横須賀では家庭系ごみが安定しないので、厳しくなった。複合ガスの排出。それから残さが出るが、それは最終的には燃やす。

Q. 生活環境整備審議会には、地域別で処理するという選択肢はあったのか?
A. これに関しては調べて、また回答いたします。(竹之内さん)

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20:30〜 オープンスペーステクノロジーの始まり

卓さん。今日は「知るための時間にするという手もある」。この後の時間をどうするか、挙手して下さい。このように質疑応答を続けるか?それとも「こういうことをしたい」と分科会に分かれて話し合いをするか?話し合いの人たちが多い。誘導的でしたね。今後反省します、と卓さん。

丸くなって座りなおす。話したいトピックスをあげる。「個人や学校などで、発生抑制の方法を考える」「市民がゴミ削減をやる気になる方法を考える」「いかにコンスタントに、意識を一体化出来るか?」「ナチュラルステップから鎌倉のごみとエネルギーを考える」「生ごみを堆肥化して有機鎌倉野菜を作ることについて」「ゴミ処理施設のことはまだ良く分からないので、この事を市民と行政が学ぶ・話す機会を作る。」の6つの班に分かれる。


こちらは、「生ごみを堆肥化して有機鎌倉野菜を作ることについて」話し合い中。


「ゴミ処理施設のことはまだ良く分からないので、この事を市民と行政が学ぶ・話す機会を作る。」の班。


30分程度集まって話した後、発表。

1. 個人や学校などで、発生抑制の方法を考える

学校単位で力を入れる。プログラムを作る。それには行政が関わって欲しい。
打倒生ごみ!有料化も視野に入れて。

2. 市民がゴミ削減をやる気になる方法を考える

ターゲットを明確に。強迫観念ではなく、ポジティブにやっていくのが一番いい。
知らせることを継続的に。護美祭り。一部有料化などの施策も必要。
メーリングリストにして共有化。自発的に集会も開こう!「その気にさせる会」というネーミング。
市民環境都市宣言。日野市では討論。

3. いかにコンスタントに、意識を一体化出来るか?

タイムリミットがある中で、出来るか?韓国では国策としてやっている。市民として自発的にやっていけるか。かなり難しいこと。
全ての家庭でやっては難しい。勉強していかなくちゃいけないね。勉強していくプロジェクト。

4. ナチュラルステップから鎌倉のごみとエネルギーを考える

ナチュラルステップ推進委員会 11月2日(火)お昼11時30分から 高見幸子さん
元事務局長の渡辺さんがソンベカフェに来てくれる

5. 生ごみを堆肥化して有機鎌倉野菜を作ることについて

いろんな具体的なアイデアが出た
事業系から家庭系へ広げたらいいんじゃないか、広い地域での連携、コミュニティーガーデン、ブランド化する,学校の農園と結びつける ガーデンセンター、役所の壁を越えて連携する、町田ではマンションで協同でコンポスト

6. ゴミ処理施設のことはまだ良く分からないので、この事を市民と行政が学ぶ・話す機会を作る。

バイオプラントって今いち良く分からない。
現状がシェア出来ていない。行政の働きかけが少ないんじゃないか。
12月に市長が代替案を出す。その前後で何か出来るんじゃないか?
議員の討論する場がもっと欲しい。

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告知:
市議会議員の太田さんより。11月18日(木)帯広畜産大学、梅津先生をお招きしての勉強会。
葉山の松本さんと鎌倉でキエーロを広めるイエローくんより、キエーロの宣伝。

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ログは以上です。

自分たちの生活に関わることを、自分たちでちゃんと責任をとるように、どうしたらいいのかを考えるエクササイズだったように思います。もうすでにいくつかのグループでは個別にメーリングリストを作ったり、次回集まる日が決まっていたりしたので、これからまた何が起こるのか、ワクワクしています!

余談ですが、ごみ会議終わったあとに、一緒にスタッフやっていた宇治まきこちゃんが、小さなビニール袋を持ってきて見せてくれました。「これうちの1週間分のごみ」びっくりしました。本当に少ない。まきちゃんは二人暮らしの共働きで、忙しい生活。でもキエーロやったり、できるだけプラスチックの容器包装のないものを心がける買い物したり、布ナプキンしたりしている。少し気をつければ、ごみの削減ってもっと出来るんだよね。そう思いました。当日来て下さった方々とこれからもつながっていくために、メーリングリストを作りました。[email protected]。関心のある方、どなたでも入れますので、ご連絡下さい![email protected]まで。

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