グリーンピース職員逮捕について

新聞記事や全国テレビニュースでも大きく報道されていますが、グリーンピース職員2名が、調査捕鯨船がとった鯨肉入りの段ボール箱を、青森市内の運送会社から無断で持ち出したとして、6月20日に逮捕されました。(関連記事はこちらなど。)

日本の報道を見ていると、問題の本質が全く見えない、むしろ日本のメディアは問題の本質を隠蔽している気がしてなりません。ブログの書き込みやmixiのコミュでも、グリーンピースへの批判がほとんどを占めていますが、その内容は「警察に逮捕された=グリーンピースはやっぱり過激な悪者」という表層的・感情的なものです。(海外のメディアはむしろ逆でグリーンピースの主張を大きく扱っているものも多くあります。)

今回の逮捕がなぜ行なわれたのか。「調査捕鯨」と言う名で水産庁が押し進める「国策」に反対する個人や団体を潰すための不当逮捕としか言いようがありません。(宅急便の配送品を無断で持ち出したことについて、グリーンピースは任意出頭し、資料も提出していました。詳しくはグリーンピースのサイトなどで。)一方で、引き金となった「調査捕鯨船の乗組員が自宅にクジラの肉を郵送している」とグリーンピースが告発した件は、不起訴処分で何事もなかったかのように事態は終焉してしまっているようです。

グリーンピース職員が逮捕されたことで、調査捕鯨それ自体の是非を問う議論はどこかに消しさられてしまっています。少し前に読んだ星川淳さんの「日本はなぜ世界で一番クジラを殺すのか」に「国際的に捕鯨が認められて堂々と出来るようになったらその先のビジョンは、と水産庁の役人に聞いたら言葉に詰まっていた」という内容の印象深いエピソードがありました。政府は、国際社会のルールや価値観に反してでも捕鯨を強行したいと意固地になっていると言わざるを得ません。

少々過激なことをしてもメディアにニュースとして取り上げてもらうことで団体や反対事案について関心を高めてもらう、というのが国際的なグリーンピースの手法だと思います。でも今回は残念ながらそこまでの意図はないようだし、これを機に捕鯨問題についての健全な議論が深まるということもなさそうです。

このことに関連して、参加しているMLで「茶色の朝」 という本が取り上げられていました。わずか11ページほどの小さな本。フランスではベスト・セラーになっていて、日本ではヴィンセント・ギャロが挿絵を担当し、初版(6千部)はたちまち売り切れ増刷中だそうです。茶色はファシズムの象徴で、ある男の生活を通して「ファシズムの危険は市民の事なかれ主義に潜む」と言った指摘をしている本です。

この本にメッセージを寄せている哲学者の高橋哲哉氏は、「日本もだいぶ、茶色になっている。例えば、多くの人は民族学校の朝鮮人生徒への嫌がらせをおかしいと思う。戦後民主主義の最低基準に触れるからだ。でも、自分の小さな生活が脅かされないと放置する。こうして茶色に慣れていく」と。イラク復興支援、盗聴法、改憲、教育基本法改定、宇宙基本法…. メディアで何回も流されると国中で既成事実化され、お茶の間で違和感が消えて、ろくにどんな事になるのか考えもせず忙しい自分の日常に没頭していく…私もそんな経験が何度もあります。

高橋氏は「正直、手遅れかもしれない」とした上で、「思考停止をやめること」「考え続けること」の重要性を説いています。今回のグリーンピース職員逮捕のニュースによって、警察発表を鵜呑みに扱いコトの本質を見失っている日本のメディア、そして報道を鵜呑みにし「警察に逮捕される=悪者」という薄っぺらい認識しかもたない社会全体の怠慢さに、恐ろしささえ覚えました。

そして何より私を含めた1人1人が「違和感を放置しておかないこと」が重要だと感じました。先週、鎌倉の友達が市議会に六ヶ所村の核燃料再処理施設についての意見陳述に行きました。つきなみですが、自分が正義感を感じた事に小さなアクションでも声を上げていくことが大切だし、特に捕鯨問題に関しては、日本は国際的にも相当変な方向に進んでいることを今回の逮捕劇で気づくことが必要。世界では「環境問題と言えば、クジラ!ウェール!」という人が本当に多いし、日本はかなり批判されています!

<関連サイト>
クジラの情報サイト
逮捕された佐藤さんのブログ… 今は別の方が更新されています。


おまけ:
河口恭吾の「地球兄弟」久しぶりにはまっていて、ここ数日の超ヘビーローテーション。声も歌詞もルックスも全て良い!高校生の時にファンになった徳永英明以来のヒットだわ。森山直太朗とか、せつなく真っ直ぐでハスキーな声の男性ポップボーカルが実は好きなのです…