シンプル・プレジャー:小さな喜び、ささやかな幸せ

“If you are capable of living deeply one moment of your life, you can learn to live the same way all the other moments of your life.
もしあなたが、ある一瞬を深く味わい生きることができるとしたら、ほかのどの瞬間も同じように、深く味わい生きることができるでしょう。”
— THICH NHAT HANH ティク・ナット・ハン
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目下のSimple Pleasure シンプルプレジャーは、朝のジョギングの時に雑草を積んできて、家に飾ること。季節を感じるし、土に触る機会にもなるし、自然のお恵みをいただいている感覚も増して、小さいながら豊かで大切な儀式になりつつあります。以前は、切り花を買っていたのだけれど、それだとお金もかかるので、それはたまの贅沢にとっておこう。

目下のSimple Pleasure シンプルプレジャーは、朝のジョギングの時に雑草を積んできて、家に飾ること。季節を感じるし、土に触る機会にもなるし、自然のお恵みをいただいている感覚も増して、小さいながら豊かで大切な儀式になりつつあります。以前は、切り花を買っていたのだけれど、それだとお金もかかるので、それはたまの贅沢にとっておこう。

 

Simple Pleasure. シンプル・プレジャー。最近、とても気に入っている言葉です。日本語で言うと、小さな喜び、ささやかな幸せ、または「プチ贅沢」という感じかしら。大きなイベント的な楽しみでなくたって、日々の小さな些細な喜びが、どんなに一日を輝かせてくれることか。それを追求していくと、ただ生きているだけで幸せ!という感じで、かなりご機嫌で燃費の良い!?平和体質が出来上がってくるのです。

野菜の断面の色合いとフォルムの美しさに魅了されてみたり。

野菜の断面の色合いとフォルムの美しさに魅了されてみたり。

天気の良い日に、近くの河原沿いで寝そべって、空と大地の間にある自分をシンプルに感じてみたり。

天気の良い日に、近くの河原沿いで寝そべって、空と大地の間にある自分をシンプルに感じてみたり。

超お気に入りのお手製グラノラを、窓辺で一口ずつよく噛んで味わいながら、いただいたり。

超お気に入りのお手製グラノラを、窓辺で一口ずつよく噛んで味わいながら、いただいたり。

こんな風に、ちょっと立ち止まって周りを見渡してみると、幸せで豊かな心持ちとなる瞬間は、たくさんありますよね。でもそれに気づくためには、それをとことん味わい尽くすためには、それなりの余裕が必要です。精神的にも時間的にもね。というか、その精神的、時間的余裕を作るために、強制的にでも立ち止まらないとならないんですけど。

そのためにできることの大きな一歩は、88ルールのブログにも書いたように、入ってくる情報量を制限すること。例えば、スマホやスクリーン・タイムを意識的にして、自動操縦モードから離れること。女性起業家、二人の子どものママ、アメリカではファンも多い Kate Northrup も、LESS PHONE, MORE LIFE! と言っています。デジタル・デトックスは、今やアメリカでもトレンドです。

そうして空いた時間は、誰にも邪魔されない、自分だけのために使うようにしています。そうすることで、わちゃわちゃしていたマインドがすっと落ち着き、今ここに意識を置いたり、もっと内側の感覚を感じられるようになったりします。すると「特別なことを何もしなくたって、今ここに全てがあり、美しい」と言う充実感が高まってくるわけです。さらにずっと頭を支配していた悩みや闘争モードから一旦リセットできるので、さらに新鮮な感覚で人生に大切なタスクの処理に戻ってくることができるから、効率やパフォーマンス、創造力も向上することが、数々の科学的調査からも明らかになっていますね。

だから、マインドフルネス。マルチタスクをやめて、シングルタスクへ。今やっていること、一つ一つに集中して、一つ一つを味わう。静かなマインドになる。いや、やっていると静かなマインドになるのが分かる、と言った方が適切かもしれません。例えば、一人でご飯を集中していただく(食べる瞑想)、歯を磨く、顔を洗う、誰かとゆっくり話す、朝日を浴びる、空を見上げる、丁寧に掃除する、植物に水やりする、料理する、シャワーに入る、お茶を入れる。そんななんでもない生活の一瞬一瞬のみに、全身全霊を捧げる。そんな瞬間に立ち返り、味わっている日々です。

でもね、これって頭では分かっていても、実行に移すのってなかなか難しい時もありますよね。頭で理解するのと、体で感じるのでは、まるで違います。だいたいこんなこと、みんな分かってる。でも実行が、生活習慣を変えるのが、脳の仕組みを変えるのが、ホント難しかったりするんですよね。

 
うちの玄関に貼った、マインドフルネス・リマインダー。家から出る時の、ちょっとした意識調整のために。

うちの玄関に貼った、マインドフルネス・リマインダー。家から出る時の、ちょっとした意識調整のために。

それに、忙しくてもできることはたくさんあります。例えばマインドフル・プラクティスの中で、とても好きなのは、歩く瞑想。今、連載中の「幼稚園」(出版社:小学館)の来月号にちょろっと書いたので、(ちょっとまだ校正段階でホントはNGですが!)、ちろっと載せておきます。これだと忙しい人でも、誰でもできる。歩く人だったら。そして3分でもやると、頭スッキリします。

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去年、コスタリカの家の庭で撮ったビデオも、よかったらご参考に。

でもね、じゃぁ何もせずに、ノホホーンと過ごして、お気楽極楽かと言ったら、それも違うんです。「小さな幸せをとことん味わい、身の丈あった暮らしをしよう」と説きたいわけじゃない。どんなに大きな野望がある方も、ビジネスを成長させたい方もいると思う。そして逆に、完全オフグリッド生活にダウンシフトした仙人的な田舎暮らしは、忙しくて目が回りそうだったりする。

大切なのは、Less is Moreというルールをわきまえておくこと。“The Power of NOW”の著書で知られる精神的指導者、エックハルト・トールも、「今この時点で、考えることから離れることが大切」と、何度も繰り返し話します。

そしてそれをすることで、マインドがハイジャックされなくて済むのです。だから、自分のミッションとかパッションとかもクリアになって、アクションも伴うようになって、何にも動じない自分軸を、自分のペースで生きていけるようになるんです。

大切なのは、ほんのちょっとでもいいから、スローダウンすること。たまには、生活のペースを落とすこと。息抜きすること。やることがたくさんあって目が回りそうでも、優先順位をつけて、本当にやりたいことをすること。やらなくてもいいようなことは、諦める勇気を持つこと。FOMO(Fear of missing out:見逃すことの恐怖)から遠ざかること。私たちには「今を生きている」という美しいギフトがあるから、ほかには何もいらない。今あることに感謝して、禅語の一つ「われ ただ たるをしる」を生きること。

 

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例えば、家の近くのお気に入りのパン屋に行って、焼きたてパンをいただいたり。(家から1キロの幸せ)

例えば、家の近くのお気に入りのパン屋に行って、焼きたてパンをいただいたり。(家から1キロの幸せ)

野菜をトントン切る音を楽しんで、その色鮮やかさと組み合わせの楽しさに、ハッとしたり。(台所での幸せ)

野菜をトントン切る音を楽しんで、その色鮮やかさと組み合わせの楽しさに、ハッとしたり。(台所での幸せ)

ダライ・ラマは「人生の目的は、幸せになることだ」と言いました。そしてね、私たちは実は、今がすでにもう幸せなんです。それに気づくか、どうか。いやいや、お金も足りないし、恋人もいないし、仕事もモヤモヤしてるし、子育てもヘトヘトだし、まだまだ幸せにはほど遠いよ!という方こそ、他に何かを見いだすのではなく、まずは今を感じるプラクティス、マインドフルネスを実践してみましょう

呼吸一つからでもいい。そうすると必ず見えてくるものがある。幸せを今、感じられるようになる。自然と自己肯定感が高まるし、頭もスッキリするし、やる気も増してくる。優しくもなれる。皮肉ですけどね、ジタバタしてる時こそ立ち止まらなくてはならないなんて。でもそうやって、みんなで真の幸せを掴んで生きていきましょう。幸せはどこか遠くにあるものじゃなくて、心がけ次第で今すぐここにあるものです。

“By happiness I mean here a deep sense of flourishing that arises from an exceptionally healthy mind. This is not a mere pleasurable feeling, a fleeting emotion, or a mod, but an optimal state of being.

私が意味する「幸福」とは、どこまでも健康な心から生じる深い繁栄のような感覚です。これは単なるワクワクするような楽しい気持ち、つかの間の感情やムードではなく、存在自体が最適な状態であることなのです。”
— MATTHIEU RICARD マシュー・リカール(フランス僧侶)
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